2010-12-04

数えずの井戸 : 京極夏彦

『数えずの井戸』 京極夏彦

 バラバラなのだ。こんなにもバラバラなものたちが、一体どう作用し合ってあの惨劇をもたらしたというのだろう? このバラバラな者達が呑込まれていく先は、なぜ同じ一つの闇の中だったのだろう? とても観念的な前衛芝居でも見ているようだ。


 「これで本当に全部なのだろうか」・・・常に「足りていない」という思いに苛まれる青山播磨。

 勘定をすることができず、「そこにあるもので全てなのだ」と思う菊。

 全て壊れてしまえば欠けなど無くなると言う遠山主膳。

 常に増え続けることを欲し、数えることで限りを知ることを嫌う吉羅。

 十まで数えることも出来ぬのに、一つ二つと数えていなければ何も出来ぬ米搗き三平。

 探さなければ“在る”ものを、探すから無くなる・・・ 数えなければ揃っているものを、数えるから欠ける家宝の皿。


 数えることなどできぬ全体と、数えることで生まれる細部。一旦数え始めた細部は、どんなに集まっても全部になることははい・・・・・

 彼らは“全部”もしくは“無”になろうとしたんだろうか? 似たようなものに囚われていながら、それぞれバラバラに散らばっている者たちが、暗い井戸の周りに集まってくる。バラバラだった彼らは数えることも出来ないくらい完全に壊れることで、一つのおはなしになったのだろうか?

 いや、もともと・・・おはなしは一つではなかったのか。



FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ