2010-10-06

落下する花―月読 : 太田忠司

『落下する花―月読』 太田忠司

 人が死ぬと必ず現れる『月導』。『月導』に込められた最期の想いを読む『月読』。そういったものたちが存在する世界のお話 ~『月読』の続編となる4つの短編。

 人の死をめぐる不思議、または人の死によって凝り固まっていたものが、月読・朔夜一心の言葉によって解きほぐされていく。


 やはり、このシリーズ・・・私には、ストーリーよりも、その世界の歪み具合の方が気にかかる。その世界に暮らす人々の、どことはなしにうっすら醸しだされるグロテスクさと、それに対する月導のクリアな絶対性。

 自分自身は未熟ながら、他人への要求は厚かましい若者。自ら心を閉じてしまう生き方。周囲の人たちの思惑に対する無頓着。本当の事とは関係なく広がっていく噂。近しい人にも気づかれない一人の人の胸の内。組織に馴染めない刑事。

 考えてみれば、私たちにとって日常の風景でもある、人と人の間の些細なディスコミュニケーション具合が、う~っすらと気味の悪いグロテスクさを立ち上がらせるのは、作者の絶妙な匙加減によるものか。

 そんなグロテスクさをも秘め、何かがきちんと伝わりあっているのかなんて非常に心もとない、人と人との関係が織り成す世界の中で、純粋に人の最期のわずかな想いだけを留めて、何ものにも侵されず、少なくとも月読にだけはその想いを正確に伝える月導 ~ その神聖さが際立つ。

 

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