2010-09-22

人魚は空に還る・世界記憶コンクール : 三木笙子

 心がバテ気味な時は、しばし逃避先を提供してくれる本を探す。

 ページを開いた途端にストンと物語に落ちていけるような魅惑の世界、あまり難しいこと考えなくても良くて、読んでる途中で醒めてしまう心配なく身を委ねることができて、適度にドキドキ、ハラハラしつつも、悪意なんて一切無い世界に安らげて、ちょっと甘い気分に胸を疼かせることができて、読み終えたら少し気持ちが澄んでいるような本はないものか。

 そんな所に、訪問先のブログで目にしたのがこの作品。“これは・・・よさそうだ”


 貧乏暇なし弱小雑誌社の好青年記者・里見高広と、そのワガママな友人~描く絵も本人も超美麗、帝都一の腕と人気を誇る絵師・有村礼が遭遇する帝都の不思議。

 友情というにはウブ過ぎて、若干甘い香りすらする絆で結ばれた、見栄えのいい男二人にどっぷりハマるつもりで読み始めたのだが、気が付いてみると、何故か高広のお義父上・里見基博卿に夢中であった(笑)。だって、若い主役二人に比べて余裕のある大人の魅力。それでいて、養子の高広に対する若干ゴリ押し気味な執心ぶり。・・・何かイイんだもの。

 舞台は、江戸も遠くなりつつある帝都・東京。「帝都」・・・そう聞くだけで、もう気分は勝手にうっとりしてしまう。華やかで、猥雑で、色んな人の想いを呑込んだ、もう決して届かない過去の街。

 帝都に起こる不思議な事件。謎解きに乗り出す高広と礼 ~ 事件発生に嬉々としているのは“高飛車なワトソン”礼であり、“腰の低いホームズ”高広は、礼に尻を叩かれ走り回らされているのである。探偵・高広と相棒・礼に窮地を救われる天才少年。可憐で強い少女たち。探偵・高広のライバル? 美意識の高い怪盗登場(これも、探偵にライバルの怪盗はつきものだとワクワクしているのは礼である)。そして、若者二人の活躍を見守る、懐の深いオジサマたち。

 多少誤解を恐れながら言えば(汗)・・・その世界観や読後感は、本仁戻氏の『探偵青猫』(6巻はまだか?!)と似てる・・・かも。


 不思議の裏に隠された人の想いを、高広が暖かく、澄んだ目で解きほぐしていく・・・

 “美しいもの”を愛し、“美しいもの”を心に灯し続けようとする高広と、高広のその心意気を愛する礼の友情が清々しく、読後、少し背筋を伸ばしてみようか、という気持ちになれる。

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