2010-09-08

三千世界の烏を殺し―高杉晋作と妻政子 : 竹田真砂子

『三千世界の烏を殺し―高杉晋作と妻政子』 竹田真砂子

 高杉晋作とその妻お政 ~ 一つ家に暮らす時間こそ、ほんの僅かしか与えられなかったけれども、彼らなりの形で、細やかで固い絆を結んでいたこの夫婦への著者の静かな感動が込められた、手向けの花のような物語。

 逃亡中の高杉を匿い最期を看取った野村望東尼、愛妾うの、高杉らの為に尽力した下関の商人白石正一郎、木戸孝允夫人松子、伊藤博文、そして晋作と政子自身 ~ 七人の男女が語る言葉の中から、時代の風雲の中に生きた者の心持ち、そして晋作、政子の姿がそっと浮かび上がってくる。

 高杉の評伝(海原徹『高杉晋作―動けば雷電のごとく』)の中で、晋作から政子やうのへ宛てた手紙が一部紹介されていたのだが・・・ その文面に綴られた、優しさと愛情、細やかな気配りの滲む言葉、そこに漂う、精一杯気張った男の可愛さと純粋さには、「この、どこかはにかみすら感じられる愛情深い手紙を、あの“動けば雷電の如く”忙しい過激な爆裂男・高杉晋作が書いたのか!」と、女心がぐらぐらする思いがしたことであるよ。

 “木戸を支えた女”であることをガッツリ鼻にかけてる松子夫人、謙遜を装いながら、維新の志士たちと交流し、志を語り合った自分も大した女であるということをチラチラとアピールする望東尼、晋作と命がけの逃避行を共にしたうの ~ 彼女たちにくらべて、あくまでもひっそりとした政子の姿。

 滅茶苦茶すぎる言動の一方で、武士であることを背負い続けた晋作。武士の妻であることを守り通した政子。妻として晋作を愛し、彼に代わって家と家族に尽くした政子と、政子が大切で大切で仕方のない晋作。政子が大切なあまり、どうして良いか分からず奇矯な振る舞いに出てしまう晋作の姿が切なくて、身をしぼられるような思いがする。


 

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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

tag : 高杉晋作

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拍手御礼

拍手コメントありがとうございます。
高杉晋作は“顔が好み”という程度のファンだったのですが、評伝を読んで以来、かなり気になる存在になってきました。

これからも高杉晋作に関するもので面白そうなものは読んでいきたいと思っています。
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