2010-07-28

電波の男よ : 西炯子

 海辺の中学校に赴任してきた地味でブスな新米教師・山下美樹とラーメン屋の訳ありバイト青年の恋(「波のむこうに」)。高校時代、唯一の楽しみだったアマチュア無線を通じて出会った“人生の中で最も長く会話をした女の子・マリン”を捜し求めるキモ冴えないサラリーマン・大河内寿三郎(「電波の男よ」)。表には見せない裏の顔を持った男女のお見合い(「海の満ちる音」)・・・ひとクセある恋愛漫画。

 「ごめん『わたしなんかいなくなればいいのに』だわ」 「…ふっ あいつら 死ね……」「…つか もう俺が死ねばいいのか…」

 そんな呪詛の言葉が普通に出てしまうほど、世の中への絶望と悪意を溜め込んだ冴えない男女がひょんなことから人生最大のモテ期を迎え、その狂騒の中で、彼らを見守り愛してくれる人の存在に気付き結ばれる。

 一般的に見てモテるタイプではない美樹や大河内を密かに恋の眼差しで見つめているのが、他所でもモテモテなイケメンや美女だったりするワケで、“フン! そんな都合のいい話あるわけないだろ。やっぱマンガだな!”と当然思ってしまう一方で・・・、決して華やかな青春時代を送ったわけではない私に突然訪れた一瞬のモテ期の中で、世の中への悪意を溶かしてくれる人に出会った自分自身の体験に照らして、妙なリアリティも感じたりする。

 多分、美樹や大河内の冴えない人生に変化をもたらしたのは、誰かに愛されるっていうことよりも、“モテ期を体験する”ってことだったんだと思う。

 人生にモテ期がもたらす影響は大きい。何も異性にモテるということでなくてもいいんだけど、何か成功体験が無くちゃ・・・ね。問題は、いかにして人生のモテ期を迎えるか? 普通、海辺に“美人になる薬”なんて転がっていないし、冴えない容姿だと思っていたが、ちょっと身なりを整えてみたらもの凄い美男(美女)だったということもまずあり得ない。

 「海の満ちる音」は、自分の生活を支えていけるだけの仕事をこなし、大切なもの・好きなことをちゃんと持ち、人の前では穏やかに笑っていられる、色んなものを背負うトシになってきた人たちにとっての「幸せ」って何だろう・・・?っていうお話。『娚の一生』に繋がるところがあるかもしれない。

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