2006-12-02

龍宮 : 川上弘美

 「おれはその昔蛸であった」と言い、イカカレーラーメンを食べる男。私の膝丈ほどしかない、少女の顔をした曾祖母。台所に潜み、居間を駆け回る顔が三つの荒神。7代前の御先祖に一目ぼれし恋仲になりたいと思う老女。昼は会社でパソコンに向かい、夜は“生きる精を無くした”人間たちを拾い集めて帰るモグラ。

 本の扉がそのまま世にも奇妙な物語への扉になっている。見えないものが見え、聞えないものが聞え、この世では常識的でないことが普通に起きる。淡々と語られるありえない物語・・・こういうのを異界と云うのだろうか。

 この奇妙な世界を近くに感じる人もいるだろうし、自分の中に抱えているという人もいるのだろうが、私にはとても遠く感じられる。多分、今の私の生活には関わってこないもの。だから、この本を読んで感じるのは、ちょっと扉を開けて旅行してきた感じ。見知らぬ場所だから見るもの、聞くもの珍しくて、軽くカルチャーショックを受ける。でも、あくまで観光気分だから、ちょっと歓声をあげながら通り過ぎる。ここは自分の場所じゃないと分かって楽しんでいる。本当は観光よろしく見・聞き流しちゃいけないこともあるような気がするが、深くは考えない。この妙な世界に長居はしちゃいけないから。

 本を閉じると異界への扉も閉まる。龍宮城から戻ってきた浦島のように、自分の住む世界に帰ってくる。
 
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