2010-06-19

エセ竜馬かぶれ その1 ~ 竜馬がゆく : 司馬遼太郎

 竜馬に憧れているわけでも、心酔しているわけでも、竜馬を愛しているわけでもないが・・・“竜馬もの”の作品は面白いと思う。この際、竜馬ブームに踊らされてみようじゃないか。まずは、“竜馬もの”のバイブルのようなこの長編から・・・。

 司馬遼太郎がこの小説を書くまでは、坂本竜馬ってそれほど愛される存在では無かったという話も耳にするので、(と言っても、私はシバリョー以前の竜馬を知らず、何とも言えないが・・・)、おそらく発表当時、同時代の志士たちと比べても際立って斬新な価値観と時代感覚を持つ竜馬という男の存在と、その鮮やかな生き様を描く著者の筆は、奇跡のような幕末史の一幕へと読者の目を開かしめ、その胸を熱く高揚させだことだろうが・・・今となっては、何となく漂う啓蒙臭、ドラマに盛られた著者の主観や見解が少~し臭う。

 とは、言いながら・・・溢れる想いを乗せた著者の言葉には、思わず顔がほころんでしまうようなところも・・・。

 『勝には、妖精のにおいがする。』

 先進的な知識と智恵と共に、江戸っ子らしい軽やかさと悪戯っぽさを持ち、幕臣でありながら、討幕を期する竜馬を可愛がり、多くの人に引き合わせ、結果的に時代の大きな節目を演出した勝海舟。知ってか知らずか、時代の中でそういう役を振られた勝という人物への、著者の深い感嘆が、“妖精”という言葉となって溢れたのだと思うと、微笑ましいと同時に、何か厳粛なものをも感じずにはいられない。


 さて、幕末の風雲の中を“竜馬がゆく”のであるが、物語はすでに誰もが知っている通り。

 序盤・・・武市半平太、桂小五郎ら並んで、剣術使いとして名を馳せる竜馬。剣士としての竜馬の強さは凄まじく、後の激烈な世情の中、命をつないでおれたのは、この剣の腕もあってのことかと思わせる。

 中盤・・・神戸海軍塾~亀山社中の設立と、進むべき道は見つけたものの、手に入れた船を失ってばかりいる、まだ翼を持たない臥竜。

 物語半ばまでは、竜馬の活躍よりも、時流を牽引していく長州の凄まじい狂乱ぶり・暴発ぶりがドラマの中心となる。その悲壮なメチャクチャさには開いた口がふさがらない。よくまあ、この状況に一応の収拾をつけたものだ。
 
 薩長同盟のあたりからの竜馬の活躍ぶりは、人間の域を遥かに超えて神憑り、まさに鬼神の如くである。大政奉還の後、間もなく彼の命が終わったことを思うと、“いかん”と思いつつも、ついセンチメンタルになってしまう。あるいは、竜馬も天が下したいっぴきの妖精だったのか? かなり魔性めいた妖精ではあるけれど。

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