2010-06-05

鬼神の血脈 : 榊原史保美

 文楽界の名門・松上一門の内弟子~魔的な魅力を持つ美貌の人形遣い久竹澄生が一門からの独立を発表したその夜、松上家の御曹司九四郎が惨殺された。現場に残された“オニ”の血文字はダイイングメッセージなのか。

 刑事・片平壮介が殺人事件の捜査を進める同じ頃、双子の弟・雑誌編集者の成見有介は大分・二上山に鬼神信仰を守る一族の里を取材していた。それぞれの調査を進める壮介・有介兄弟の前に妖しくその姿を見せる“鬼”。

 メインキャストには冴え冴えとした美貌の青年達が惜しげもなく投入され、さらにその美青年達が皆、古典芸能の名家や巨大企業の御曹司だの、かつて栄華を誇った旧家の直系だのというのだから、色んな意味で「ぅっわ~」と・・・こみ上げてくるものに胃のあたりを押えてしまう。 

 その信仰故に弾圧され、凄惨な悲劇に見舞われ続けてきた一族の妄執が、事件の背後におどろおどろしく蠢く ~ 伝奇的な雰囲気は十分なのだが、事件の鍵を握る人物たちが初めから限られた人間関係の中に見えていて、事の真相にほぼ最短距離で到ってしまうストーリー展開は、ミステリーとしての意外性も、主題である鬼神の姿をゆらめき立たせるための語りとしても少し弱いのではないかと感じてしまう。

 ただ、物語終盤で明かになる鬼神の正体 ~ 自らと同じ姿を持った半身に焦がれ続ける美しい鬼、多くの生贄の上にただ自らとその半身のみで完成された世界を夢見る二人で一体の神であるもの ~ は、「耽美」の名にふさわしく圧倒的に残酷で甘美なものだった。 

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