2010-04-24

[増補]書を読んで羊を失う : 鶴ヶ谷真一

 私の本とのつきあい方といえば、ページを開いてから閉じるまでのエンターテイメントとして楽しむという風で、読みながら、又は読み終えた後で内容をゆっくりじっくりかみしめるというとこは疎かだし、書物自体への愛情、興味、所有欲や、その書物を書いた人の人となりなどへの関心も薄い。読み終えた本はバッサバッサとブックオフ行きだったりする。

 そんな自分の淡白で貧弱な本との関り方が残念にも恥ずかしくも思えてくる、人に愛された書物と書物を愛した人との間に生まれた数々の深く、愛しく、豊かな物語を丁寧に辿るエッセイ。

 以前、出雲の小泉八雲記念館で、八雲が使っていた机のレプリカを見たのだが、その机は一般的な机よりも天板の位置がかなり高く、目の悪い八雲はその背の高い机に本を置き、目を擦り付けるようにして読んだという。愛しいといえば良いのか、切ないといえばいいのか、少し胸が痛むように懐かしく、豊かで幸せな・・・このエッセイを読んでいるときに私の胸を満たしていた心持ちを何と言えば良いのかわからないが・・・、それはあの八雲の机を見たときにわきあがって来た気持ちとよく似ている。

 「ページのめくり方、東西」「出会い」「すれ違い」「草木の名」「失われた本」「本占い」「記憶術」「近視」「多読」「精読」「盲目」「シンデレラの変貌」・・・ 古今東西、人と書物の間の愛すべき逸話たち。とても上質な時間を与えてくれた一冊。

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