2010-01-27

ちくま日本文学2 芥川龍之介

 中学~高校の一時期、「好きな作家は芥川龍之介」だと言っていた(というか、“思っていた”というか・・・)。しかし、『ザ・龍之介』という大型本は持っていたものの、その小説を真剣に読んだことはなく、実際は、教科書などに載っているナルシストっぽくて神経質そうでインテリっぽいあの肖像写真が好きだったというだけのことである。

 あの写真から、どうしてもニヒリストというイメージが拭えないでいたんだけども、『蜜柑』の田舎娘、『鼻』『芋粥』の主人公たちに注がれる細やかな観察、そこに寄せられる控えめな同情に、「龍之介・・・優しい。」と、ほろりとさせられる。しかし、そこには同時に、彼らに対するどうしようもない軽蔑と嫌悪も漂っているのだ。

 一つの対象に向けられた微笑と冷笑。

 『地獄変』は登場人物たちの中にも、そういう相反するものが渦巻いている。豪胆な大人物・堀川の大殿の中にある怖れ。大殿を畏れ敬いながらもどこか暗い目を向けている物語の語り手。当代随一の絵師良秀の人間的浅ましさととその一方にある情愛、地獄のごとき苦しみの中で見せる神々しさ。引き裂かれんばかりに相反するものを抱えた人の生は、さながら煮えたぎる坩堝を覗くようだった。

 アンビバレントな人・龍之介。

彼の作品の訴えるものは彼に近い生涯を送った彼に近い人々のほかにあるはずがない。~『或阿呆の一生』

彼はどんな世の中を見ていたのだろう。

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