2009-12-09

忠臣蔵傑作コレクション(本伝篇) : 縄田一男編

 内匠頭は短気で短慮な田舎大名などではなく、癇は強いが潔癖でプライドの高い殿様じゃないといけないし、浪士たちも何らかの損得勘定や思惑があって討ち入りに加わったのではなく、ただひたすら亡君を慕い武士の本懐を遂げようとしたのでなくてはいけない。そして内蔵助は浪士たちを纏め上げ、義挙を成し遂げる胆力を備えた大人物。浪士たちと取り巻く町人や他家の侍達は、意気に感じる熱い人たちで、清水一学だって一瞬で切り殺されるんじゃなくて、不破数右衛門と華々しく切り結んでくれなくちゃ。

 赤穂事件の史実は、もちろん違うとこにあるんだろうし、杉浦日向子さんが「吉良供養」で描かれたように、『赤穂浪士の討ち入りは“まぎれもない惨事”である。』ということは間違いないと思うのだけど、十二月だけは、この美しく完成された物語世界にどっぷり浸りたい。

 雪の吉良邸に響く山鹿流の陣太鼓。隣家・土屋邸より掲げられる高張提灯。くおぉぉぉぉぅ、胸が熱く震えるんである。


 本書は、松の廊下から四十七士の切腹までを10の作品でつないだアンソロジー。
 
「弥生十四日」 山手樹一郎 (松の廊下刃傷~内匠頭切腹)  
「さむらい魂 ―三村次郎左衛門―」 海音寺潮五郎 (江戸から赤穂へ)
「赤穂城最後の日」 木村毅 (赤穂城明け渡し)   
「撞木町」 船橋聖一 (山科での日々)
「内蔵助道中」 平山蘆江 (内蔵助東下り)
「浪士慕情」 南條範夫 (討ち入り前夜の浪士たち)
「女間者」 邦枝完二 ( 〃 )
「雪の子別れ」 笹本寅 ( 〃 )
「元禄義挙の翌日」 鷲尾雨工 (討ち入り翌日)
「べんがら炬燵」 吉川英治 (討ち入り~四十七士切腹)

 討ち入り後、細川家にお預けになった内蔵助ら十七名と接伴役堀内伝右衛門の交流を描いた吉川英治「べんがら炬燵」では、死を前にした義士達の清々しさと秘められたドラマに涙ボロボロ。ただ、討ち入り当夜の模様を書いた作品が収録されていなかったのが不満といえば不満か。

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