2009-11-11

夢幻紳士 回帰篇 : 高橋葉介

 '80年代に「メディウム」等に連載されていた「夢幻紳士 怪奇篇」のリメイク。

 「新装版 夢幻外伝」のあとがきに

 全て今の絵で描き直してみたら、どんな作品になるか自分でも見てみたいものです。
 もっともそんな仕事は来ないでしょう。「同じアイディアで、楽にもう一仕事したいだけだろ?」と言われるだけですね。


 と冗談めかして書かれていたことを、本当にやってしまったのですね。

 同じネタで書くわけだから、かなり趣向を変えて楽しませてくれるのだろうと期待していたんだけど、絵柄以外はわりと“そのまんま”で少しがっかり。

 『吸血鬼』『木精』『蜘蛛』『幽霊船』はわずかに設定や雰囲気、話の運びを変えてあるけど、海を漂う船の幻想性を強調して、長く見てきた夢の終わりを告げるエピソードとして、巻末に置かれた『幽霊船』以外は・・・

『吸血鬼』
 「怪奇篇」・・・“吸血鬼”から、犠牲になった“ご婦人”を取り返すために、妖しげな婆さんの作った水晶玉を使用。さらに、取り返した“ご婦人”を依頼人である少女に返した後、少女から「鬼!」と言われるような振る舞いをしている魔実也氏。

 「回帰篇」・・・魔実也氏自身の能力で、“ご婦人”を取り返してます。キメ台詞「馬鹿め お前に出来る事は僕にだって出来るのだ!!」

『木精』
 木精にとりつかれた男の死の話であるけれども・・・
 「怪奇篇」・・・男と魔実也の間にほんの数回ではあるけど交流あり。

 「回帰篇」・・・男の死は、男と魔実也が出遭ったその日の出来事になってる。

『蜘蛛』
 「怪奇篇」・・・美しく怖ろしい蜘蛛女から危うく救われたいたいけな少女が、実は蜘蛛へと育っていく芽をその身に秘めている。

 「回帰篇」・・・最初から少女の方が蜘蛛女よりも一枚上手。

 ・・・どれも、リメイク前の雰囲気の方が好きなのです。

 魔実也氏のキャラクターにしても・・・「怪奇篇」の魔実也氏は、魔物に限りなく近いけれど、恩師も先輩も友人もいて、現実の青年としての存在感もある。基本的に女には甘いが、きまぐれに鬼畜である。一方、「回帰篇」では、魔実也氏の現実的な生活感を感じさせる部分がかなり削ぎ取られていて(『沼』の中で、「怪奇篇」にはあった魔実也氏と宿の女中の会話 ~沼に向かう魔実也氏は、自殺を疑われて、宿代を前払いさせられている~ が削られているのも、その為だろうな、ページ数の都合もあったかもしれないけど。)何だか実体のない、闇と夢から生まれたような男。これは好みもあるけれど、存在の色っぽさでも「怪奇篇」の魔実也氏に軍配が上がる。

 まぁ、何だかんだ言って、「メディウム」掲載当時の絵が一番好きだっていうのが、「回帰篇」に満足できない理由なんだけど。

FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

theme : マンガ
genre : 本・雑誌

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ