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2006-11-15

美の死-僕の感傷的読書 : 久世光彦

 「熟れ過ぎて饐えた臭いを放ち始めた果実の甘さ」・・・こういう風に書くと“何、どっかで見たことある言葉を使って陳腐なこと言ってるんだ!”という声がどこか頭の上の方から聞えてくるのですが、久世光彦氏の作品を読むとどうしてもこんな言葉が思い浮かびます。・・・いや、違う。ちょっと違うなぁ、ああ・・・感じてることと、それを表す言葉が一致しない。もっとよく言葉を探さなきゃ。「西日がさす、空気のこもった部屋で凄いものを見ちゃってじっとりと汗ばむ感じ」・・・ちょっと近づいてきたかなぁ。久世氏の文章がというより、氏が題材に選ぶものがそういう「感じ」を放っているように思います。

 前置きが長くなりました。本書は久世光彦氏による書評や作家論を集めたもの。その書評というのがとても主観的で、作品の鑑賞というよりも、その作品に刺激される自分の感覚的なことが、あの独特の臭いのある文章で綴られています。書評集というより読書エッセイと言ったほうが良いか・・・。とにかく文章の端々から久世氏がその作品に“感じちゃってる”様が溢れ出していて・・・作品・作家についての考察、解説、あらすじ紹介といったスタンダードな作品ガイドとは全く違うアプローチで、それぞれの作品に興味を持たせてくれます。

 氏によると、少女小説家や童話作家の声は決して春の蝶々のようにきれいな声ではなく、掠れているのだという。その手や体はびっくりするくらいに温度がないのだと。こういう感覚を感じ取ることのできる人って羨ましい。

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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

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