2009-10-14

光 : 三浦しをん

 三浦しをんさんの小説を、こんなに何も感じないままに読み終えたのは初めてのことで、愕然としてしまう。

 突然、謂れのない暴力、悪意に薙ぎ払われた者。日常的な悪意、暴力にさらされ続ける者。善悪も意味も持たない暴力によって損なわれ、回復することのない傷を負った者達の生。

 人が負った傷について、又、人を取り囲む悪意、暴力、誤解、無自覚、無関心ということについて・・・そういうものを書くことに気負い過ぎたのではないかと思わせる程、この小説は頑なで、広がりと豊かさが感じられない。どうも、机上でひねり出されたお話を読まされている気してしまうのだ。

 理不尽な悪意に対して、悪意で応えるということを、私は決して悪いことだとは思わないけれど、登場人物の一人が語る『暴力で傷つけられたものは、暴力によってしか恢復しない。』などという言葉は、「ペーパークラフト」「きみはポラリス」収録)で語られた『復讐なんて、だれにもできない。』という言葉の切実さに比べ、どうしても虚しく、空々しく思えてしまう。

・・・そう感じてしまうのは、彼らに刻まれた傷を思う心が私に欠けているからなのか? それとも、彼らのとる言動が私の嗜好に合わないという、個人的好みのせいなんだろうか?

 求めたものに求められず、求めてもいないものに求められる。よくある、だけどときとして取り返しのつかない、不幸だ。


 「他者は自分に応えてくれず、自分は他者に応えることができない」という不幸。これだけは、作中の人物達の根本的な悲しみとして、辛うじて感じることができた。

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