2009-08-15

虐殺器官 : 伊藤計劃

 9.11以降~個人情報の徹底した管理・監視により、社会からはテロが一掃されたかに見えたが、それと代わるように世界の各地域、民族間では凄まじい内戦や虐殺が勃発していた。米情報軍で暗殺を任務とするクラヴィスは、それらの虐殺の陰に必ずジョン・ポールなる人物の存在が囁かれていることを知る。ジョン・ポールの目的は? 彼が操る「虐殺する器官」とは?


 現在よりほんの少し先の未来を見つめたSF小説。人間の肉体にとってのリアルは、テクノロジーによってかなりの部分が変更可能となり、意識・認識の分野でも現実は多面化、多層化し、シンプルにリアルを感じることが難しくなっている社会。

 ジョン・ポールと「虐殺器官」をめぐるホラーもしくはミステリーとして話が展開していくのかと思っていたが・・・。虐殺の陰にちらりとその姿を見せては消える、ホラー的化け物のような人物かと想像していたジョン・ポールは、早い段階であっさりと、その有能ではあるが普通の社会人である正体を現す。

 その普通の社会人であるジョン・ポールが、世界各地で次々と凄惨な虐殺の引きがねを引きながら、そのことを紛れも無いシンプルな現実として、正気のまま受け止めていることが、自分にとっての現実を選べないでいるクラヴィスを追い込んでいく。

 人間が、自分の生死の境さえ認識することが難しくなった社会のグロテスクさ・・・。

 自分にとってリアルだと認識できる「現実」を設定するために、クラヴィスが行った選択はとてもグロテスクで悲しい。こんな現実がやってこないことを祈る。

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