2009-08-05

明治劇談 ランプの下にて : 岡本綺堂

 芝居好きの少年として、新聞社の劇評記者として、劇作家として、明治の歌舞伎を見てきた綺堂翁の思い出話。

 表の通り、裏の露地からは長唄や常磐津の稽古が聞こえ、近所の男たちは集まっては素人芝居をしている。そんな少年時代の風景や、大人の腰巾着で、または小遣いをやりくりして見た歌舞伎の舞台。朝暗いうちに起きて、歩いて劇場に向かう長い道々~草深い野っぱらが広がり、雨降りにはぬかるみだらけになる東京の町。劇場で会った団十郎や菊五郎、守田勘弥らのことなど。

 どれも綺堂翁の身の回りにあった日常であり、実際にそれを見聞きしていた生の空気感が感じられる一方で、九代目団十郎が生きて喋って演じているなんて、私の感覚ではフィクションとしか思えない不思議な非現実感。

 ずっと昔の、今となっては夢とも現実とも分かちがたくなったお話は、ぼぅっと灯ったランプの下の風情、もしくは、四季折々の陽射しと風が心地良い座敷で~春はうららかに薫る風、夏は団扇を使いながら、秋は落ちかける夕日に、冬はキリっと冷たい空気と冴えた光~懐かしい物語に耳を傾けている気分。

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