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2009-07-18

アテルイ三連発~その3 火怨 : 高橋克彦

 「まほろばの疾風(かぜ)」は、アテルイの英雄としての活躍よりも、蝦夷の民の暮らし、心を真摯に描こうという土の臭いのする物語だったけど、「火怨」は夢や誇り、守るべきものを胸に抱いた激しく熱く切ない男たちのロマンのお話です。

 蝦夷の民を獣扱いする朝廷軍の侵攻に、人間としての誇りと蝦夷の未来を賭けて抗った勇ましい男たち。その勇猛さと智略で、自らの軍に数倍する朝廷の大軍を苦しめる。

 「我らは皆、美しい山や空のために戦っている」

 「我々を育ててくれた山や空を守るためであるなら喜んで死ねる。山や空とてきっと我らの味方をしてくれよう」


 もぉ~!!! なにきれい事言ってんだよぅ! どこのマンガの台詞だよぉ?! と思うんだけど、そんなこと言われちゃうと、どうしても心は昂ぶって、目には涙が溢れちゃう。

 自らの保身ばかりを考える朝廷の役人たちの中にあって、情に厚く真っ直ぐな田村麻呂の清々しさが際立つ。田村麻呂と蝦夷の男たちの交流・共感も泣かせるんだなぁ。


 この男たちのドラマ、私の脳内では二十一世紀歌舞伎組の豪華メンバーによって演じられております。真っ直ぐな熱い心を持った英雄・アテルイはもちろん右近さん。熱い想いを武ではなく智に込める、蝦夷の頭脳・モレは段治郎さん。酒好きでお調子者、でも頼りになるムードメーカー・イサシコは猿弥さん。蝦夷の若者達を背後から大きく見守り、支え導く物部天鈴は笑三郎さんでどうでしょう? 弘太郎さんはアテルイを助け働く小柄な勇者・タケヒコか。蝦夷一の剣の使い手・ヒラテは猿四郎さんかな。モレの妹でアテルイの妻・佳奈に笑也さん、ヒラテの妻、向こう気の強い美女・滝名に春猿さん。う~ん、完璧だ。あ、田村麻呂は染五郎さんに客演をお願いしました、私の頭の中では。

 
 号泣ポイント満載だったんだけど、一番たまらんかったのはやはり終盤。長く続きすぎた戦を終わらせ、蝦夷に未来をもたらすため、アテルイがある覚悟を固める場面。常に冷静でストイックなモレが、一瞬、それはもう支離滅裂メロメロに乱れるのよ。長く共にあったアテルイと自分の道が隔てられてしまうかもしれない。アテルイだけが先に行き(逝き)、自分は取り残されるのだという不安と恐れに、激しく揺れ、取り乱すモレ。モレ・・・愛しすぎる! 元々英雄だったわけじゃない、それでも戦ってきた男たちの心に泣けた。

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genre : 本・雑誌

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