2009-06-20

夢みるちから - スーパー歌舞伎という未来 : 横内謙介・市川猿之助

横内 : 動かない。つまり敢えて表現しないことによって得るものは何なのでしょう?

猿之助 : 究極の存在感と美しさです。


 痺れる!

 演出家と脚本家としてスーパー歌舞伎「八犬伝」「カグヤ」「新・三国志」を生み出した市川猿之助丈と横内謙介氏の対談。上記は、振幅の激しい動と静 ~ 一見荒唐無稽にしか見えない誇張された歌舞伎表現の中にあるリアルについて語る中で出てきた、静の演技・・・所謂「ハラ」についての言葉。

 はっきりと言い切った猿之助の言葉に、横内氏も一瞬打たれたようだが、私の体にも電気が走った。

 動も静も、究極まで誇張された、または削ぎ落とされた歌舞伎の動きには一つの無駄もない。 究極の動作で究極のものを伝えるために、歌舞伎役者の体にプログラミングされている「型」の力・凄み ・・・ それは決して形骸化した様式であるはずがない。

 横内氏は歌舞伎役者と仕事をすることで、その凄みをひしひしと感じられたようだ。

決まることで、何かが見えてしまう。それはもう意味とか理屈を超えている。


 そう! 歌舞伎を見ていると、ある瞬間 本当に! 「何か」が! 「見えてしまう」! これは、私自身劇場で何度か体験した。 


 スーパー歌舞伎の創造は「型やぶり」であって「型なし」ではないと言う。歌舞伎の財産はしっかりと生かされている。スーパー歌舞伎製作のノウハウについては、「スーパー歌舞伎―ものづくりノート」でも、猿之助丈によってたっぷりと語られていたが、ここでは、現代演劇の考え方をベースに持つ横内氏との対談の形をとることで、歌舞伎が蓄積し、築いてきた哲学がくっきりと浮き彫りになる。

 歌舞伎役者の肉体を持ち、その肉体で理解した歌舞伎の哲学・方法論を、歌舞伎以外の言葉で語る知性を持った猿之助は最強だ。

 猿之助が「創造者」として歌舞伎の歴史に名前を残すことは間違いない。が、これから先のことを思った時、やはり気がかりなのは、猿之助を超えて行く人がまだ現れていないように思えること。

 私が今最も期待しているのは、猿之助劇団に学び、そこから飛び立っていった亀治郎と、昨年の「ヤマトタケル」再演で、師匠とは全く違う、そしてストーリー自体がリニューアルしたかと思うほどに新しく、かつ飛びきり魅力的なタケルを生み出してみせた段治郎なのだけど・・・。

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