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2009-06-13

もうおうちへかえりましょう : 穂村弘

別れてしまった彼女について、漫画家・吉野朔実氏と穂村氏の会話。

吉 「そのひとと、きちんとつき合ってたの?」
穂 「うーん、なんとなく」
吉 「体が目当てだったの?」
穂 「いや、そういうわけでもなかった」
吉 「何か、割り切った関係という以上のこと、相手の心に触れて、揺さぶるようなことを云ったりやったりしたんじゃないの」
穂 「・・・うん」
吉 「何故そんなことをしたの」
穂 「体だけでなく、心も自由にした方が楽しいから」



 ・・・・・・黒い。

 しかし、穂村氏の黒さにひくよりも、女性とつきあおうとしている時の自分の心理をきっちり見切って言葉にできるその明晰さに舌を巻く。

 こんな明晰な人とは、私は怖くてとてもお付き合いなんてできないぞ~。「何故そんなことをしたの?」と詰め寄られても、“う~ん”と考え込んだ挙句「好きだったから」っていうのが精一杯なくらいのユルい人じゃないと無理。


 「人生の経験値が極端に低い」などと言って、震える子犬のようなふりをしている穂村氏って、したたかで面白そうな人だなぁと思ってたけど、やっぱりこの人・・・相当・・・だ。


 子供の名前について・・・ 祖母世代のある女性の名前「う」を前にして穂村氏は恐怖する。

 同世代の女の子たちの「幸子」「優子」には「幸せであってほしい」「優しい子であってほしい」という親たちの素朴な願いが感じられる。最近の子供たちの「怜央」「美佑」には、ただ幸せで優しくというだけでなく、世界でただ一人のヒーローやヒロインに・・・という親の願いのインフレ化を感じる。

 しかし、「う」は・・・

 私は「う」という名前に対しては得体の知れない怖さを感じる。名前に込められた願いがわからないということは、世界に対する働きかけの感覚が掴めないということであり、つまりはその時代の人間の心がみえないということだ。


 ほんの些細なことから世界に触れてしまう。そして、それに触れた自分の心持ちを、冷静に正確に言語化できてしまう。そういうことのできる人は、私にはちょっと怖い。


 でも、80年代・・・バブルの追い風の中で肥大するイメージ、自意識、「素敵さ」にがんじがらめにされて身動きが出来なくなっていたところを、ザ・ブルーハーツの「リンダ・リンダ」が救ってくれた・・・なんていううぶな告白には、“やっぱり可愛い人かも”と思ってしまう。・・・危ない。

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