2009-04-25

秘密の花園 : 三浦しをん

 キリスト教系中高一貫女学校に通う女子がみんな、性的な匂いのするトラウマを抱えている訳では無いし、教師と恋愛してる訳でも無ければ、同性のクラスメイトに淡い、友情以上の想いを抱いている訳でもない。

 だから、公開されている紹介文やレビューを眺めながら、“「幻想の少女性」みたいなもので無理やり作られた女の子の話だったら嫌だなぁ・・・”という危惧をちょびっと抱いた。

 しかし、描かれていたのは、しっかりと自分の現実を見つめる女の子たちで・・・彼女達は年相応に賢くて、年相応に無知で、年相応に多感で、年相応に無神経で、年相応に純粋で、年相応に計算高くて・・・。そういう少女たちの内面を、吟味した言葉で、注意深く書いたしをんさんは誠実だなぁと思う。

 
 私の個人的体験に照らして、一番のリアルを感じられたのは、那由多の章「洪水のあとで」。

 私はその人が好きで、その人も私が好きで、互いに近くにいて・・・ それでも私の気持ちは、その人に伝わることは無いのだ、ということを、7歳で知ってしまった那由多。そのことを知って負った傷はどんなに深かったことか。


 少女達はしばしば、自分だけを相手にした思索の中に籠る。それは決して閉ざされた夢の空間に生きているということではなくて、いかに真剣に彼女達が自分の現実を引き受けようとしているか・・・ということなのだ。

 それなのに、時に私たちが「少女」という言葉に抱く、夢のように儚く美しく、そして一方でグロテスクでもあるイメージって何なんだろう?と思う。

 穂村弘氏による文庫版解説に、ひとつの答えが書かれていた。

 あまりにも純粋で切実な想いは現実社会のなかでは夢のように見える、という逆説がここにはある。



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