2009-04-08

少年少女漂流記 : 古屋兎丸・乙一

 現実と理想、心と外見、実力と願望、自分と自分以外・・・すべてが上手く折り合わない。絶対何かが間違ってる、自分以外の何かが・・・。妄想の中でしか自分を保てない10代の暗黒。

 私の10代ってどんなだったっけ? ここに描かれた少年少女たちほどには暗黒ではなかった気もするし、私が幸いにも?鈍感だっただけで、彼らと同じくらいに無自覚に失敗だらけの日々だった気もする。


 古屋兎丸・乙一のコンビは、妄想の中にいるイタい少年少女を繰り返し描いた最後に、彼らへの救いの言葉を用意している。その救いの言葉のお陰で、少年少女たちの妄想や、イタい言動は、“傷つきながらも乗越えてきた戦いで得た勲章”だとか、“強い自分に変わるための試練”的なトーンを帯びる。

 妄想少年少女たちに訪れる、救いの場面のあまりの清々しさ、暖かさに、「これは何かの罠? 皮肉?」と勘繰ってしまったほどだったのだけど、巻末の対談で「『大丈夫だよ。嵐は通り過ぎるから。』と言ってあげたくてこの作品が生まれた。」と語られているところを見ると、作者の中には、暗黒の中にいる少年少女たちに光の在り処を示そうという気持ちが本当にあった・・・の・・・か? 

 確かに、大体において嵐はいつか通り過ぎる。“憑き物が落ちた”とか“ホルモンバランスが変わった”としか言いようのない不思議なあっけなさで。

 だからと言って、10代の暗黒って、『僕たちは忘れないよ 10代の吹き荒れる大風にのみこまれたことを』なんて誇らしげな顔をして語れるようなもんじゃなかった気がする。そんな言葉が作品の最後に記されていることに対しては、ちょっとしっくりこない気持ちが残る。自分自身の過去の弱さ、醜さ、哀しさ、惨めさ、悲惨さ、失敗は、そんなに優しく肯定・容認されていいものかなぁ・・・と。

 誰にも言えない、言いたくない、隠し通したい傷として残るからこそ、まぎれもなく自分の一部だと言えることってあると思うんだけども。

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