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2009-03-11

女形の運命 : 渡辺保

 女形を運命として生きた六代目歌右衛門に焦点をあてた役者論であり、近代に生きるということを論じた文化批評であると同時に、歌右衛門の芸に魅せられた著者自身の内面への問いかけでもある。

 近世から前近代までの歌舞伎がどういうものであったのか。女形を運命とした歌右衛門が世界をどのように捉え、どのように生きようとしたのか。近代人である歌右衛門が女形として舞台に上がった時、そこに何が起こったのか。

 ここに書かれていることを「解る」ためには、歌舞伎とはどういうものなのかということを体験的に知らなければいけないし、近世~近代の文化批評というものも理解しなければいけないし、現代人としての自分がどのように生きているかという意識がなくてはいけないだろう。そういう事への知識と、理解と、自覚をもっと深めてから再読したいと思う。

 
 異様な迫力・緊迫感に満ちた「歌右衛門論」。この迫力・緊迫感の源は、序章に語られるように、本論が著者自身の「個人的な事情」から発しているというところにあるのだろう。女形を運命として生きた歌右衛門を対象とする本論は、歌右衛門を客観的に観察し、一般的な役者論として書かれているのではなく、歌舞伎に人生を支配され、歌右衛門を観てしまったことを自らの運命とする著者が、自らの内の歌右衛門に目を凝らして書いたという印象が強い。

 妖しく美しい姿で舞台に現れ、著者を陶酔させた歌右衛門。その美しさに魅了されながら、何か不穏な予感を感じていた著者。「自分が観たものは何だったか?」と問い、その答えを追う著者自身の切迫感がこちらを息苦しくさえさせる。

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genre : 本・雑誌

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