2009-02-04

アルカロイド・ラヴァーズ : 星野智幸

 暗黒「ボタニカル・ライフ」・・・いや、暗黒と呼ぶにはあまりに濃い極彩色のイメージ・・・、悪魔的「ボタニカル・ライフ」と言うべきか。


 種から芽吹き、成長し、葉を茂らせ、花をつけて実を成す ~ 常に変化する植物の生。季節が巡り、葉を落として沈黙する植物の死。その死の中に準備される次の生 ~ 植物の再生。

 かつて、誕生~変化~死~再生を繰り返す植物としての生の中で生きてきた記憶と感覚を持つ咲子。


 余談であるが・・・以前読んだ、いとうせいこう氏の植物生活エッセイ「ボタニカル・ライフ」 ~ “ベランダー”いとう氏が植物を育て、植物と生活を共にすることで発見し、そこに記した「植物的生命サイクル」「植物的時間の流れ方」の感覚が、咲子が記憶している「植物の生」を感じる上で、思いがけない助けになった。


 かつて、咲子が繰り返したその生と死の中には、同じく植物の生を生きるものたちとの激しく奔放な恋があった。

 何度も生き、何度も恋をし、何度も死に、生まれ変わる ~ ランプの花が咲き、ステンドグラスの草の茂り、嬰児が実る楽園 ~ そこが私の場所だった。

 循環する「植物の生」を生きる楽園を追われ、一度しかない生から死へと一方向に時間の流れる「人間の生」へと落とされた咲子。罰としての「人間の生」を生きながら、ひりつくように楽園を夢想する咲子。

 自分は「バチがあたっている」という男・陽一と結婚した咲子は、夫に植物の毒を盛り続ける。妻の盛る毒を飲み続ける陽一。二人を1本のベンジャミンの木が見つづけている。

 二人の男女と一本の木は何処を目指したのか。罰を受けながら、楽園に立つ「骸骨の木」になろうとして失敗しつづけた咲子。「人間の生」の呪縛から咲子は逃れることができたのか。

 楽園に生き直すことを強く強く渇望する、楽園を追われた「人」の記。

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