FC2ブログ
2009-01-31

巨門星―小説菅原道真青春譜 : 赤江瀑

 平安の宮廷において高位の官僚に上りつめたものの、後に無実の罪で流され、怨霊とまで化した菅原道真の生涯とともに、「表向きの歴史には登場しない平安京・夜の王朝支配者をも描き配したいと思っている」(作者の言葉より)という意気込みの下、新聞連載小説として発表された作品ということだが・・・あとがきでもらされている通り、どうもペース配分が上手くいかなかった作品のようである。むむむぅ・・・。

 宮廷に渦巻く、貴族・皇族の思惑、謀略。それらに翻弄されながらも愛し合う貴公子と姫たちの官能。その中で栄華の道を進みつつある道真。そして、都に蠢く怨霊めいたもの。それらすべてをこってりと描き尽くさんという目論みだったようだが、いかんせん連載期間が足らなかった(のか?)。

 道真の死までを描く予定が、結局青年期までしか書けていないという事はまあ置いておくとしても、まったり、こってりと思わせぶりに進んできたストーリーと妖しの事件は、最期の章になってばたばたと帳尻合わせをされることになってしまい、前半の匂いやかな世界に対し、この終盤の趣の無さは何だ!と残念に思われてならない。

 序盤~前半にかけては先を期待させるに十分な展開なのだ。腹に一物呑み暗躍する怪物めいた藤原一門の貴族たち、官能的かつ悲劇に彩られた宮廷の愛が赤江氏の匂い立つ濃密な言葉で細やかに描かれ、同時に、人智の及ばないところで都に不吉な影を落とす妖しのものたちがちらりとその姿を垣間見せる。赤江ワールドにどっぷり浸って読み進める前半だが、話も中盤にさしかかるころから、ちょいちょいとある懸念が頭をよぎる。「この話、ちゃんと終わるの?」「着地点は見えてるの?」・・・そして、案の定・・・。

 これは、個人的な好みの問題かもしれないが・・・ 短編作品において、人の情念をねっとり語るときには、あれほど妖しい魅力を放つ赤江瀑の粘度の高い言葉が、ストーリー運びで読ませて欲しいと思う長編では、時々くどくどしいとさえ思われる。

 やはり赤江瀑の世界は短編でこそ存分に堪能できるのではないかと思う。

FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト



theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ