2008-10-15

クレィドゥ・ザ・スカイ : 森博嗣

 シリーズの中で、一番忌々しくも、一番清々しくて、綺麗だと思ったのが、「スカイ・クロラ」のカンナミ・ユーヒチだった。理解されることを拒絶し、最小の抵抗・摩擦の中で軽々と空へと飛び上がっていったカンナミ・・・地上の重さをすべて捨てたかのようなその姿は、どうしようもない大きな欠落を感じさせたけれど、確かに泣きたくなるほど綺麗だった。

 それに比べて、クサナギやクリタは、「飛びたい」と切望しながら常に重力に引っ張られている、そんなアンバランスさを感じさせていた。

 カンナミとクサナギ、クリタのこの違いは何なのか? それぞれの個性、キルドレとしての個体差なのか? ・・・と思っていたのだけど。


 そういうことだったのか・・・。いや、本当は理解できてはいないのだけど、やはり・・・。

 空でだけ息をし、新しく目覚めるたびに、「空を飛ぶこと」以外を削ぎ落として(失って)、どんどん軽く、純度を高く研ぎ澄まされていく。

 それが悲しいことなのか、幸せなことなのかは解らない。ただ泣きたくなるような何か・・・。

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