2008-10-08

高瀬川 : 平野啓一郎

 実験的ともいえる短編4編を収録。私は「清水」と「追憶」が好きだ。
 
「清水」
 境界が曖昧に溶けていく記憶と現実の間。記憶の中の現実の切れ間に閃く、肉体が感受する光、音、映像。
 
 浮遊するように、幻のように、心の世界へと沈んでいきながら、外界と感応する肉体へと繋がる糸を手放さない ~ 私が存在する境界。


「高瀬川」
 男女の性的な交わりが延々と描写される。肉体的な感覚を拠り所にしながら、その側に口を開いているもう一つの世界に身を浸そうとしているような・・・。「清水」を裏返した作品のように思える。


「追憶」
 白い頁にポツリポツリと散る言葉。文脈があるのか、ないのか・・・頁の上にパラパラとこぼれた言葉は、細く透きとおった糸で繋がれ、「誕生」と「不在」、「輝き」と「孤独」を萌え立たせる。

 埋もれていた一編の散文詩から、記憶の表に浮かび上がってくるように、白い空間に現れる言葉。とりとめなく浮かんでは消えるその言葉は、綴られた文章よりも深く心を抉る。 

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