2008-09-03

マンガに人生を学んで何が悪い? : 夏目房之介

 60~70年代に、それ自身の「思春期」といえる時代を経て人生を語りうる媒体になった日本のマンガ。

 作者と読者の間の共感意識を生む事になった60~70年代の漫画の変化、そこから育っていく「読者・作者共同体」(幻想であるとしても)・・・著者が実体験として感じているこれらのことを、私は実感として理解することができないし、やはりここでも語られる「24年組」の少女漫画家たちの「内面を語る言葉」なんてのも、少女漫画を体験していない私には実はピンとこない。

 ただ、私が、そうやって人生を語りうる大衆娯楽として発展・拡張していった漫画の恩恵をどっぷり浴びて育ったことだけは良くわかる。

 私自身のマンガ体験を振り返ってみて・・・マンガに人生を学んだ覚えなんてちっともないのだけど、「この漫画が あなたを構成する ほんのひとかけらに なれますように」(道原かつみ ジョーカー・シリーズ8 「ファイナル・ミッション」あとがきより)なんて言葉に「ああ・・・」と溜息をついてしまうのは、やはり漫画に側にいてもらいながら大きくなった証拠。

 「教わる」「学ぶ」なんて他人行儀なことじゃなくて、あるときはぴったり寄り添い手に手をとって進む友として、青臭い議論をぶつけ合う仲間として、またあるときはポイポイっと読み捨てられる慰みモノとして、文句も言わず側に居続けてくれた漫画・・・これが夏目氏言うところの、「マンガが大衆娯楽媒体であることの意味」~どんなに凄い影響・感動を読者に与えようとも「『たかがマンガ』といえることの『凄さ』」なんだろう。

 マンガがどういう葛藤、過程を経て読者との関係を築いてきたか、何を描くようになったのかを概論的に語った本書。ここから先もっと深い小道(作家論や作品論など)に踏み込んでいきたくなる。

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