2008-05-10

ヤマトタケル : 山岸凉子・梅原猛

 先日、念願かなってスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」を観ることができ、あまりの素晴らしさに中々感動さめやらず・・・。少しでも長くその余韻に浸りたいと思っていたところ、梅原猛氏の原作戯曲を山岸凉子さんが漫画化されていたということを知り、早速ネットで入手。

 戯曲・歌舞伎とは、かなり設定やヤマトタケル=小碓命の人物像が異なっている部分があり、話としては別ものと思った方が良いかもしれない。

 山岸氏による漫画版のヤマトタケル=小碓命は、気は優しくて力持ち、胸板厚く、肩や腕の筋肉も隆々とした男性として描かれていて、“これじゃ女装は無理だろう・・・”と気をもむ。案の定、熊襲襲撃の時は従者タケヒコが女装役。命様の女装姿は拝むことができなかった(厩戸ばりの女装姿を期待していたのだが・・・)。

 双子の兄とは違い、父に顧みられる事の少なかった小碓命の父恋いがキーになっていて、悲劇の英雄譚として感動的にまとまっているんだけど、歌舞伎の舞台のスペクタクルや、梅原氏の戯曲で描かれる濃く、荒々しく、小さくまとまることの無く、文字の中からはみ出してきそうなキャラクターのパワーを体験した後では少し物足らなくも感じられる。

 小碓命、弟橘姫、倭姫、タケヒコ、ヘタルベ・・・このあたりの主要キャラクターたちに、戯曲や歌舞伎の舞台で感じられた複合的な魅力が少々欠けるんだよなぁ。ストレートに好青年だったり、ひたすら純真で可愛い姫であったり、物分りの良いやさしい叔母だったり・・・。

 でもね、華やかな衣装をまとって繰り広げられた歌舞伎の舞台上の夢見心地とも、梅原戯曲から強烈にたちこめた土と人の臭いとも違いはするけれど、山岸氏の描く小碓にしか無い魅力もあって・・・。それが、若き皇子の健やかな心と、その心をくもらせる悲しみの対比。数々の戦いを勝ち抜いてきた頑強で美しい肉体がついに破れ滅びる時の衝撃。肉体派の命様だっただけに、その美しい肉体が失われる=死の悲しみはひとしお。


 余談ですが・・・私、ヤマトタケルのキャラクターっていうと、ゆうきまさみ「ヤマトタケルの冒険」の小碓が好きなんだよなぁ。自由奔放な少年皇子。政治的な謀に無縁でさっぱりしているが、少々性格破綻気味。女好きで女にモテる。自分の都合次第で暴力に訴えたり、卑怯な手を使うことも厭わない。こういう奴が英雄譚の主役ってとこが何とも。


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