2008-04-19

夏と夜と : 鈴木清剛

 登場人物たちはそれぞれに困難なことを抱えていて、色々に事件も起こる。物理的にも心理的にも大きな動きがあるのに、そこに発する熱は極力抑えて描かれている。全体的にひんやりとした感触で、登場人物たちは皆、体温低めの人なんじゃないか?・・・なんて感じる。


 僕たち三人は時計の針のように、三人で一つの世界にいた。何でも率先して行動し、体の細い和泉みゆきは秒針。背が小さくてのんびりしてるスウちゃんは時針。二人の間で心地良いバランスを感じていた僕は分針。

 三人の間で循環する気持ち・・・愛で満たされた世界は僕たち三人の楽園だった。でも、スウちゃんの死によって、心地良いバランスは崩れてしまった・・・時計の三本の針は重なったままもう先に進めない。

 三人の世界を離れて長い時間が経った。僕は今では妻のゆきと二人の世界を築きつつあるのだけど、時折“心持ちの具合が悪くなる”。その発作はランダムに僕を襲う。そんなある日、僕は和泉みゆきと再会する。和泉はスウちゃんの幽霊が現れるのだと僕に告げる。

 確かな存在を感じさせるスウちゃんの幽霊と和泉と僕・・・三人の楽園を再生させることができるのか。僕が求めている楽園は何なのか・・・。

 自分にとって必要なことを、静かに、しっかりと確かめる時間。もどかしいけど大切な時間が、静かでひんやりとしたトーンで描かれていて・・・こういう感触は好きです。ただ、私はこの話を読みながら、僕でも、和泉みゆきでも、スウちゃんでもなく、僕の妻・ゆきに近い立ち位置で出来事を眺めていたので、そういう意味で少し苦しい気持になってしまった。 

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