2008-03-05

風の古道 : 恒川光太郎

風の古道 : 恒川光太郎(『夜市』収録

 「夜市」と同じく、異界に踏み込んでしまった少年のお話ですが、「夜市」よりもさらに不思議な・・・、この結末を何処にどう収めればいいのか?という気持になる、何とも言えない読後感。

 十二歳の夏の日、ある少年が親友と共に、この世とは別に存在する秘密の道-古道を旅し、元の世界に帰ってくるまでの出来事。

 ~こう書くと、よくある「少年の冒険と成長の物語」を思い浮かべてしまいそうになるけど、これはまったくそんな冒険の物語ではない。

 古道を旅する少年を、怪異や事件や困難が襲う ~数ある冒険譚の少年達が経験するのと同じように。異界で途方に暮れる少年に味方してくれるものも現れる。しかし、この物語が所謂少年の冒険譚と異なるのは、少年が経験する古道での出来事が、“少年の為に”“少年を中心に”起こっているのではないという事。少年の存在に関係なく、古道ではいろいろな出来事があり、少年は偶然その出来事の一端に行き当たっただけ・・・。

 冒険譚の少年達が、降りかかってくる事件の中心にあり、それによって良くも悪くも変化していくのに対して、古道を旅する少年には、そんな変化のきっかけは与えられない。少年側の事情は、古道の大きな営みに対してあまりにちっぽけで相手にもされない。

 少年に何の変化ももたらさないまま、少年の意志ではなく、どちらかというと古道の世界の都合で、少年の旅は終わる。この旅が後年大きなトラウマとなって少年の心に残らなければ良いが・・・

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