2007-12-19

明治断頭台 : 山田風太郎

 明治初頭・・・大きな変化の後の虚脱のようにも、いろんなベクトルのエネルギーがうずまく混乱のようにも見えるこの時代の空気を背景に、不正を犯した役人を裁く弾正台の大巡察・香月経四郎が活躍する推理もの・・・と言ったら良いのかなぁ。

 水干姿の大巡察・香月経四郎が、同僚の川路利良と競い合いながら、解明困難かに見える不可思議事件をさばく。各章独立した事件の顛末が描かれるが( 『遠眼鏡足切絵図』では、当時の人気女形・沢村田之助の左足切断手術が事件のトリックに使われていて、“ほぉ、こんなとこにも”なんて思ったり・・・)、バラバラに起こっているかに見えた事件の背後には、ある人物の強い意思が働いていて・・・。

 職に誇りを持つ良き同僚でありライバルである香月と川路。ストーリーの展開の中で、あくまでも正義にこだわる香月と、清濁併せ呑むタイプの川路の対比が浮かび上がってきて、やがてそこから予感される一つの結末・・・ 終章『正義の政府はあり得るか』での、なだれ落ちるような悲壮感溢れるラストには息を呑みます。

 ただ、太平の世の一読者である私から見れば、正義の男・香月経四郎はかなり極端な人物。夜神月も斯くやと思われます。正義の実現の為に、香月の手足となって働いた羅卒たち(役人でありながら小悪党だった彼ら・・・香月に弱みを握られ、いい様に使われたんだろうなぁ)、香月のお陰で、命の賭け甲斐のある仕事をもらったと喜んで散っていった彼らが哀れな気もする。

 斯様に「正義の政府」にこだわった著者の思いについては、もう少しその背景を知りたいところ・・・。

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