2007-11-24

ユリイカ : 青山真治

 7人の死者を出した凄惨なバスジャック事件の当事者であり、死を目前にしながらも生き残ったバス運転手の沢井と直樹、梢の兄妹。同じ体験をしたものが再会し、共に生活し、新しく手に入れたバスで旅をしながら、壊れた世界から再生をしていく。

 導入部が印象的でとても惹きつけられる小説だけど、読むのがとてもしんどい小説でもありました。

 死という圧倒的な恐怖、闇を垣間見てしまったことで、生を支える“関係”や命を養う“世界”を完全に破壊されてしまった沢井たち。そういう体験をした人たちの心をひとつひとつ語っていく抑えた言葉。読むのにはかなり体力が要りますが、それだけの体力を使っても読まなきゃと思わせる熱いものが一つ一つの言葉の中にあります。

 小説の舞台となるのは九州の田舎町。沢井たちを取り囲む情の濃い土地、人の情に絡めとられたような世界。そういう町、世間と、“関係”や“世界”というものを破壊されつくした沢井たちとの対比が残酷で、悲惨な気持ちにさせられます。

 その悲惨さがじっくりと描かれているだけに、そこから回復することがどれだけ困難なことか、沢井たちの旅がどんなものなのか・・・簡単に読み飛ばしちゃいけないなと思うのです。

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