2007-11-14

園芸家12カ月 : カレル・チャペック

 何でこの本を読んだかって・・・それは、いとうせいこう氏が、「ボタニカル・ライフ―植物生活」執筆のきっかけについて、「もともと、『園芸家12カ月』の全編にあふれる無償の愛に圧倒され、ひどく感動し、自分も無性に何か書きたいと思ったのだ。」と書かれていたからなのです。

 都会の限られたベランダで、おどおどと、しかし必死に、不器用な愛でもって植物を育てる「ベランダー」の姿を、時にクールに、時にユーモラスに描いた「ボタニカル・ライフ」は、植物を育てるにはあまりに不完全な男の、不器用な愛情と、屈折した心理と行動と困惑が、妙に可笑しく愛しい、文句なしの名作エッセイでした。

 結果的にそんな名エッセイを生んだ、いとう氏を突き動かした本って! それはとんでもない面白さに違いない!

 そして・・・

 期待に違わず、「園芸家~」は、園芸家の誇りと、ちょっぴり自嘲的なつぶやきと、ユーモアに満ちた面白い本でした。

 チェコの「園芸家」は、東京の「ベランダー」に比べて随分と身体を使う。行動力と意思の力に満ち満ちて、季節・天候の変化を嗅ぎ付ける嗅覚に優れている。ちゃんとした「庭」を造る彼らは、「ベランダー」よりも圧倒的に「土」や「自然」に近しい。自らの「財産」=「庭」と「植物たち」を守り、育てるために身体を張る(そしていつのまにか自分が「植物たち」の召使になって、わき目もふらず忙しく働き回らされている。何と言っても、「園芸家」が、丹精した庭をゆっくり眺めることができるのは、すべてが雪の下に隠れてしまった12月だけなのだから。)。

 日本とはかなり違うんであろうチェコの気候・風土をもう少し知っていれば、「園芸家」が春夏秋冬それぞれに味わう内心の煩悶を、もっと一緒に感じることができるのかもしれない。

 ちっとも「園芸家」の願いをきいてくれない自然に恨み言をいいながらも、端から見ればパラノイア?と思いたくなるような自らの意思の力と行動力で、自らの「庭」という「世界」を作っていく「園芸家」。
 
 きまぐれにベランダに鉢を並べ、花が咲けば喜び、枯れそうな(又は腐っていく)一株を、なす術も無く、ただ事態が好転することを祈りながら見守り、予想外の出来事におろおろと狼狽する「ベランダー」。

 同じ植物愛好家といえども、かなり違う2者の姿。マンション暮らしの身としては「ベランダー」の方にシンパシーを感じる・・・かな。

FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

comment

管理者にだけメッセージを送る

プロフィール

やぶからねこ

Author:やぶからねこ

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

ブログランキング
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 漫画ブログへ
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
検索フォーム
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
魂に喰い込んでます
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ