2007-11-10

狂乱廿四孝 : 北森鴻

 芝居の町・猿若町で起こる凄惨な殺人事件。一幅の幽霊画に埋め込まれた謎掛け。続けざまに起こる不可解な事件、過去の因縁、奇妙な噂に芝居の町は怯えていた。

 明治初頭の歌舞伎界を舞台に、脱疽で両足を失った悲運の名女形・三世田之助、五世菊五郎、河原崎権之助(後の九世団十郎)、河竹新七(黙阿弥)ら実在の人物を配して描くミステリー。

 読者の興味をこの異様な幽霊画にぐっとひきつける効果的なプロローグ。幽霊画に仕掛けられた謎を追わせながら、さらにその外側に仕掛けられた筋書きを気取られないよう、周到に張られた罠。飽きさせることなく最後まで引っ張って行ってくれる。

 実は、「脱疽の田之助」としてその壮絶な逸話を見聞きしたことのある三世澤村田之助がどのようにように描かれるのか、というところに興味を覚えてこの小説を読んだ。皆川博子の「花闇」や、南條範夫の「三世沢村田之助―小よし聞書」とはひとあじ違った田之助像、生々しい蠢きを持って描かれた歌舞伎の世界は十分に読み応えもあって面白かったのだが、ほんの少し(これは私の気のせいかもしれないのだが)物語の舞台に漂う“借り物臭さ”が気になった。

 ミステリーの舞台になる歌舞伎の世界、江戸の気分を残す明治初頭の芝居町の描写に、この作者独自の思い入れというようなものを何故か感じにくい。巻末に参考資料としていくつかの作品・書籍があげてあるが、そういう他の作家らによる既成の作品の内容が未消化なまま作品に流れ込んできているようにも思えなくも無い。そのあたりは少し物足らなさが残った。

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