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2007-11-07

自由戀愛 : 岩井志麻子

 舞台は花の都・東京、モダンと古風が同居する大正時代。

 華やかな美貌に恵まれ、無邪気で可愛らしい明子。聡明で思慮深いが地味で人の目にとまることのない清子。かつては同じ女学校に通い、新しい女性らしく自由恋愛を楽しみ、男に頼らない生き方をしようと誓い合っていた二人が一人の男を求めたことから起こる、暗い戦い。

 話としては典型的な女の確執モノで、良くある話しといえばそうなんだけど、この小説を読んでてあまり嫌な気分にならなかったのは、女性の醜い部分、愚かな部分がズバズバと書かれていながらも、その女性達が否定されていないからなんじゃないかな~。マイナスの部分を含めてもこの小説に登場する女性達は魅力的だ。

 家族や周囲の人達に愛され、褒められて育った明子は、無邪気な分無神経で、他人への思慮に欠ける行動は場合によっては愚かで、残酷で罪深く、そのせいで自ら不幸を招いてしまう。それでもやはり、成長の過程で悪意のある言葉や否定的な言葉に触れることのなかった彼女ならではの、素直に他人を求め、他人に触れることのできる性質は間違いなく彼女の最大の美点なのだと思う。

 一方、“こうなってはいけない”“こうはなりたくない”という躾と想いばかりにしばられて成長した清子は誰にも触れることなく、誰からも触れられることのない、人の目にもとまらない女性になってしまった。清子を清子と認め、その上で触れてくれた男性に一度は心を奪われるが、最後には自分の求めるものを自分の手で掴む道へと歩きだす。自ら考えることができ、生きていくための術を身につけていた彼女だからできた決断だ。

 長い確執の中で、二人それぞれに自分の醜さ、弱さよりも己の持つ美点に気付いたのではないか・・・それぞれふさわしい生き方へと流れていく。読後感はさわやかだった。

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genre : 本・雑誌

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