2006-08-16

赤江瀑

 「遠臣たちの翼」に出会って以来、赤江瀑のファンだ。後から考えてみると氏の作品自体はそれまでにも読んだことがあったのだが、「赤江瀑」という名前を意識するようになったのは、「遠臣たちの翼」を読んでからのこと。

 赤江瀑の短編は濃密だ。読んでいると、ねっとりと粘度の高い汗をかいているような気分になる。

 頁を開くといきなり尋常ならざる場面と対峙させられる。“っ”っと息を呑んだ瞬間に場面は転換し、時間を過去にもどして、そのただならぬ場面に至るまでの物語が語られ始める。語り手の後についてうねうねとした藪の中の細道を歩いて行くうちに、うっすらとほの暗い予感めいたものが現れ・・・歩みが速まり視界の先に冒頭の場面が見えるかという時、突然夢が絶たれるように物語は終わる。瞬間我に帰ると、そこは断崖絶壁の突端。踏み出そうとしていた足の下は底も見えないような崖・・・。

 非常に言葉足らずではあるが、これが赤江氏の短編を読む毎に感じる感覚。

 赤江氏の短編は日本の伝統芸能や土着の風習を題材にとられたものが多く、常軌を逸した情念や執着に囚われた人を繰り返し描いている。過剰な思いをあからさまに現す人物には胸が苦しくなるが、それよりも、さらりと普通の生活をしているかに見える善人が、ふと逢魔が時に鬼に会うように、ちらりとのぞかせる狂おしさが非常に怖い。

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