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2007-11-03

私が語りはじめた彼は : 三浦しをん

 家庭がありながら、多くの女達に愛され、また、多くの女達と関係を持ってしまう大学教授・村川。彼に連なる男女の生活、心理を描くことで、村川という人間を浮き上がらせていく6編の連作。

 三浦しをん氏の著作といえば、これまで「月魚」といくつかのエッセイという、ライトなものしか読んでないせいか、本作中に時々使われる情念的な言葉や表現がどうも浮いているような気がしないでもない。それでも作品が進むにつれて、主体的には語らない村川の人物像がだんだんと現れてくるのには“おおっ”と思ってしまう。

 村川の存在・行為によって生活や心を散々に乱された人たちにとっては大層な災難であり痛みであっただろうけど、村川はある純粋な人間関係を求める男なのであって、彼がそれを悪と感じていない以上、彼を責めることは全て空振りに終わるのだろう。彼に社会的・道義的責任を負わせることはできても、彼に罪の意識を感じさせ、心からの贖罪をさせることはできない。

 「予言」の中で村川の息子が味わうように、“自分が傷つけられた痛み”をもってして、誰かを傷つけることは不可能だ。結局自分が被った傷も、村川のような男との関係も、自分なりに収まる所を探し昇華させなければいけない・・・この作中の人たちのように。

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genre : 本・雑誌

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