2007-09-05

猿若の舞 初代勘三郎 : 東郷隆

 中村屋さんの活躍には、いつも目を見張るものがありますし、当代勘三郎さんのご長男、勘太郎さんは私が一番好きな歌舞伎役者ですので、このタイトルを見たら手に取らないわけにはいきません。

 天下が徳川のものになってまだ数年。戦乱の名残り~大坂の陣へと動くきな臭い空気の中、武家の出でありながら芸の世界に身を投じた彦作道順=初代中村勘三郎の生涯。

 歌舞伎というと、爛熟した江戸文化の華というイメージがありますが、その創成期はまだ天下騒乱の混乱期。歌舞伎踊りの小屋を架ける河原には、晒し首が並ぶこともある不穏な時代。その中でしたたかに芸の世界を生き抜いていく勘三郎の姿は泥と血にまみれ、その素晴らしい芸は、比喩でも何でもなく命がけ-ひりひりと張りつめています。

 史実からなるべく離れないようにと著者が意識したものか、エンターテイメントを意識した演出や創作は抑えられている様で、娯楽的な時代小説として読むには、少々ドラマティックな展開、盛り上がりに欠けるかもしれません。ストーリーの各所に挟み込まれる史実としての豆知識や解説によって、どうしても勘三郎を主人公としたフィクションとしての話の腰が折られてしまうのが残念と言えば残念です。

 しかし、華々しい成功者としての勘三郎ではなく、戦乱の世の泥にまみれながらも芸能人として生き抜いた逞しいイメージを見せてくれたことには、目から鱗の落ちる思い。

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