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2007-08-01

太宰治滑稽小説集 : 太宰治/木田元編

 「森見登美彦はこの系譜に連なる人であったか!」と、近頃読んだ「太陽の塔」「四畳半神話大系」を思い返しながら考える。

 先日やっと、長年の宿題であった「人間失格」を読んだのだが、自分の中でどうも納まりが悪く、ならば・・・と滑稽小説の名手でもあるという太宰治の、そちら方面の作品を読んでバランスを取ってみることにした。・・・結果、少し太宰を愛してみる気になった。


「謂はば、最高の誇りと最低の生活で、とにかく生きてみたい」・・・『服装に就いて』

「悲痛な理想主義者」・・・『不審庵』

 この二つの言葉に凝縮された男の悲憤。
  
 何処に出しても恥ずかしくないはずの、正しく、誇り高い心の中の自分。素晴らしい自分の姿が世間に理解されぬことに、世間の無知をあざ笑いつつも戸惑い、怒りながらも途方にくれ、遂にはやぶれかぶれの奇行に走り、世間からの奇異の眼差しをほしいままにする。

 世間に向かって吐き出せぬ、悲痛な己の正当性を、あまりに理不尽な世間の間違いを、ことさらに折り目正しく、しかつめらしい文章で書き綴る。

 男は、聞いているこちらが “え? そこなの?”と思ってしまうくらい大きくポイントのずれた主張をしながら、もう何だか良くわからない顔で笑っている。主張のポイントが大きくずれて行けば行くほど、彼の憤りと困惑と孤独の深さはいや増しに、私たちの胸を衝く。私たちも、もうどうすれば良いのか解らなくて笑う。

 
 やけくその半泣きにゆがんだ顔で笑う森見作品の笑いは、この太宰の笑いから流れてきていたのか・・・。「太陽の塔」を読んで面白いと思った方には、是非この太宰の滑稽小説もお奨めしたい。

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