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2019-12-14

謎手本忠臣蔵 : 加藤廣

『謎手本忠臣蔵』 加藤廣

 赤穂浪士の吉良邸討入りの裏には「ある筋」の思惑が動いていた。

 討入り計画の最初から最後まで、その裏に潜み動いていたにもかかわらず、大石初め赤穂の浪人たちにも、また世間にも覚られることのなかったその秘められた思惑を「謎手本」と洒落て、『忠臣蔵』の物語の様相を書き換えようとした作品なのだろうが・・・。そんな作者の作意&作為が見えてしまって物語としては弱い。

 「謎」のネタとして投入された「幕府と朝廷間の確執」とか「福島正則が秘蔵したといわれる家康の密書」についても十分に描き切れておらず、『忠臣蔵』を書き換えるどころか、庶民が愛する従来の『忠臣蔵』の物語を御しきれず呑み込まれてしまっているように見える(その「庶民の愛する『忠臣蔵』こそ、作中の“ある筋”の意図によるもの・・・といいたいようだが)。

 また、内蔵助たちのあまりに現代的な口調はおいておくとしても、明々快々と開陳される登場人物たちの思考や言動ばかりを連ねてドラマを展開する語り口には時代味がなく、巨大権力 vs. 窮地に立った中小企業!的な企業小説でも読んでいるような気分になる。

 『忠臣蔵』を書き換えようというなら、それなりの圧力のある物語を読みたかった。


  

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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

2019-12-07

決算! 忠臣蔵

『決算! 忠臣蔵』 監督:中村義洋

 なによりまず、この時期に『忠臣蔵』の映画を見られるのが嬉しい。

 今朝ちょうど、三田村鳶魚翁の本で、火消しの演習に際して『一つ間違えば手討ちにでもしそうな様子』で薙刀の抜き身を携え号令をかける長矩公の話を読んだとこで、冒頭から「あははぁ、これはまさに」とニヤニヤできたのも良いめぐりあわせだった。

 「病身の老父」のイメージしかない矢頭長助(岡村隆史)が算盤と帳面を手にイキイキと働いていて、何かもうそれだけで不思議に可笑しい。でも、お父さんがそんなに元気じゃ、右衛門七は?とか心配したけど、やっぱりお父さん、討ち入りを前に無念の死を遂げるのね。その長助の死にざま・・・しまり屋でいつも徒歩の長助があの時ばかりは駕籠を呼んだ、その心を思うと泣ける。

 堤さんの内蔵助、軽みと重みのバランス、ユルさと熱さの塩梅が絶妙。そして、山田風太郎の短編「俺も四十七士」では、「どうやってもスポットライトから外れてしまう男」だった貝賀弥左衛門が、算盤のできる男として時に頼もしく見えてしまうのも味わい深い。

 気持ちよく泣き笑い、身も心もスッキリと清々しく映画館を出た。が、どんな紆余曲折があったとしても、この後起こることは決まっているわけで、私も含めて帰途につく人たちの目や胸には、きっとそれぞれに討ち入り当夜の光景が浮かんでいる。やっぱり『忠臣蔵』 強いよなぁ・・・。


 ところで、内蔵助が吉良邸で打ち鳴らしたのは山鹿流の陣太鼓じゃなくて銅鑼だったの?


 

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