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2019-09-14

太陽と乙女 : 森見登美彦

『太陽と乙女』 森見登美彦

 酷い暑さと大雨の波状攻撃に削られた体力、鈍く痛んで重たい頭。そんな状態でもゆるゆるとやさしく読めて、読み終わった時には少し良い心持ちになれるような読み物を求めていた。これは、そんな時にうってつけの一冊。

 読み進めることしばし・・・、現れた『使いすぎると、みなカレーになってしまう』というパワーフレーズに、ランチ時のドトール店内であるにもかかわらず堪らず「ブッ」と吹き出す。吹き出すと同時に身体と頭を覆うモヤモヤが少し晴れた。

 そして、これは意外にもというか、ちょっとした驚きだったのだけど・・・。収録されたエッセイの中に、東京都内の廃駅跡をめぐる1日を記したものと、姫路から益田まで単行列車を乗り継ぐ旅の顛末について書いたもの、鉄道にまつわる文章が2つあるのだが、これがあまり面白くない・・・。本書の中にも登美彦氏が内田百閒を愛読する様が書かれており、さぞかし『阿房列車』ばりの面白くかつ不思議な味わいの鉄道エッセイが・・・と思っていたところが・・・。ワクワクも、微笑ましい偏屈さも、煙に巻かれるような詭弁もない。何だか大人しい文章が綴られているのに拍子抜けするのだが、「やはり登美彦氏の本領は、外の世界にではなく四畳半に据えた机上にあるのか・・・?」と思うと、その面白くなさも、少し面白い。

 一方で、登美彦氏の妄想世界と地続きであるような馴染みの町の様子、風景を語る文章には不思議な生命力がある。そういう妄想だか現実だかわからない登美彦氏の描く風景を読んでいると、ときにふわっと、ときにザワザワと風が吹き抜けていくんだよなぁ~。  



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