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2019-08-24

オリガ・モリソヴナの反語法 : 米原万里

『オリガ・モリソヴナの反語法』 米原万里

 1960年~64年少女時代の数年間をプラハのソビエト大使館付属学校で過ごした志摩。志摩が通うソビエト学校には殊に印象深い二人の女教師がいた。派手な1920年代ファッションに身を包み独特の反語法を駆使して厳しく巧みに生徒を指導する舞踊教師オリガ・モリソヴナと、19世紀風の古風なドレスを身に着け、志摩を見つける度に「中国の方?」と尋ねてくるフランス語教師エレオノーラ・ミハイロヴナ。二人はソビエト学校の中で飛び抜けて個性的であると同時に多くの謎を秘めた女性だった。

 志摩は敬愛するオリガとその友人エレオノーラの謎を解くべく、ソ連崩壊後のロシアに赴く。

 資料をあたり、当時を知る人をたどり、話をつなぐうち明らかになっていく二人の波乱に満ちた過去とソビエトの暗い歴史、残酷な事実。謎を追うごとに明らかになっていくのは耐え難い暴力と不条理に満ちた現実と、それにさらされた人たちの痛苦、悲嘆なのだが・・・。

 それでも行間に溢れるのは、その地に息づく文化の豊かさであり、そこに生きる人々の暮らしの微笑ましさや愛しさである。そして、それらを凝縮したものこそオリガ・モリソヴナの反語法であり、オリガの生き方だったのだ。 




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2019-08-10

女たち三百人の裏切りの書 : 古川日出男

『女たち三百人の裏切りの書』 古川日出男

 なんで『女の裏切り』にこだわったのか、そこんとこがよくわかんない。

 既存の物語を読み替え、語り直し・・・。語る者、聞く者、書く者、読む者たちを取り込み、巻き込んで、やがて物語は分裂し増殖する。物語は物語の外の世界に滲み出し、外の世界は自ら物語の一部となり・・・。

 物語の中で語られる物語、その外側にある物語、さらに外側でその物語を読む者への問いかけ・・・重層的な仕掛けで紫式部の『源氏物語』宇治十帖が次第にその姿を変えていくのだが・・・

 一番引き込まれたのは、物語が大きく動き変わっていく後半よりも、式部の宇治の物語をほんの少しだけずらして語り直す物語序盤の部分であって、さすが『人を惑わす物語を語った罪で地獄に堕ちた』といわれる紫式部の凄みを改めて感じさせられたのだった。



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