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2019-01-26

歌舞伎の見方 : 渡辺保

『歌舞伎の見方』 渡辺保

 渡辺保氏の書く歌舞伎の本を読むのが好きだ。

 歌舞伎としっぽり深い仲である渡辺氏の言葉が、様々な気づきを与えてくれたり、私が歌舞伎を観て感じている言葉にならないモノに形を与えてくれたり、歌舞伎が滴らせる情感を伝えてくれて刺激的だから、というのも理由の一つだが、一番の理由は多分、書き手である渡辺氏の「内なる歌舞伎」が魅力的だからってことだと思う。

 渡辺氏が書くもの中心には「歌舞伎が好きな著者自身」がいて、「自分はなぜ歌舞伎に魅かれるのか」「自分を魅了する歌舞伎とは一体何なのか」「そもそも自分は何を見たのか」と問うている。

 本書では『一人の観客 ー 私(著者)自身の自己解剖』として歌舞伎の楽しみ方を書くことが明言されているが、他の著書でも客観的な歌舞伎解説というよりも自身の内面へ問いかけるような視線を感じることが多い。

 そうして綴られる言葉を読むうち、氏の『内なる歌舞伎』に巻かれていくような妖しい感覚が萌す。もちろん氏の『内なる歌舞伎』をはっきりとこの目で見たり、共有したりなんでことはできるわけもないのだが、名優たちの至上の一瞬とそれを目にした著者の陶酔が渾然一体になった『内なる歌舞伎』の存在と、そこに凝らされる著者の視線を思うと、くらくらと目眩めく感覚にとらわれるのだ。




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2019-01-12

歌舞伎の愉しみ方 : 山川静夫

『歌舞伎の愉しみ方』 : 山川静夫

 ド派手な衣装に大仰なキメ台詞、キメポーズ。並み居る美形に、敵も味方も個性豊かで多彩なキャラクターたち。緩急自在のリズムにのって繰り広げらるアツいバトルに人間ドラマ。気分を高揚させ感情を揺さぶるかっこいい音楽。『ジャンプ』を読んで育った私にとって、鼻息の荒くなるものがいっぱいつまっていた歌舞伎の舞台。

 初めて観た歌舞伎が先代猿之助さんのスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』だった(大学受験で上京していたのをいいことに、親戚に頼み込んで新橋演舞場につれていってもらった)というのも大きいのだけど、以来ずっとマンガやアニメを楽しむのと同じ感覚で歌舞伎を観てきた。

 でもね、歌舞伎にはもっともっとちがった見方、楽しみ方が数多くあるだろう。いろんな人のいろんな楽しみ方をちょっとだけでも味わってみたい・・・ということで、まずは歌舞伎好きとして名高い山川静夫氏の一冊。

 長年、歌舞伎を見て、味わって、愉しんでこられた氏の体験の中から、「歌舞伎を愉しむためのタネ」をたくさんちりばめて書かれた歌舞伎のあれこれ。「入門書」なんてしかつめらしいものではなく、「体験記」なんてパーソナルなものでもなく、歌舞伎好きの先輩が「一緒に歌舞伎を観にいきましょう♪」と誘ってくれているようで、やさしく、ふわふわと幸せな気分がわきあがってくる。

 あたたかく、やさしい語り口の中で、ピリッとしたひらめきや、ドキリとする気づきをもたらしてくれる事柄もあった。「『勧進帳』は、私にとって『駅馬車』です」と仰った淀長さんのエピソード(淀長さんは映画を観る目で歌舞伎を愉しんでいらしたのだ!)、腹を切ったあとも延々と長ゼリフをきかせる勘平に鑑賞に来ていた学生の口からたまらず漏れたぼやきの話、歌舞伎の舞台に出る馬を笑う人、笑わない人に関する戸板康二氏の言葉、また、舞台を彩る粋な男たちの身体にはそこはかとなく江戸っ子の「はじらい」や「はにかみ」が存在しているような気がするという著者の審美眼などなど・・・。



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