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2018-06-23

関ヶ原 : 司馬遼太郎

『関ヶ原』 司馬遼太郎

 昨年、岡田准一の三成、役所広司の家康で映画化された『関ヶ原』。その宣伝文句に『正義vs.野望』と大書されていたのだけど、映画を観たあとも、「関ヶ原の戦いって『正義』と『野望』の対決なんて単純に割り切れるのか?」って喉に小骨が刺さったような心地がしていたもので、原作ではどう描かれているのか確認しなくては! と思っていたのだ。

 読み始めた動機が↑のようなことだったので、純粋に小説を味わうというよりも、小説を通して映画を思い出し反芻するっていう読み方になってしまった(主に島左近の渋かっこ良さとか、福島正則の破落戸ぶりとか・・・この二人は原作のイメージを見事に体現)。

 日本史に残る一大合戦の裏に作者がみた人間悲劇、もしくは喜劇。三成と家康を大将とした対決は『正義vs.野望』というよりも『(三成なりの)正論vs.正論では動いていない現実』という様相。映画の三成は演じる岡田准一くんのカッコ良さでなんとか一方の大将の押し出しを保っていたけど、岡田くんのルックスを持たない小説の三成はどうやっても家康の敵ではない残念感が濃いのが愛嬌。

 日本を二分した合戦に向けて様々な人の行動、思惑が行き交い、渦巻くダイナミックな群像劇。自分の都合で好き勝手に動く人の群れがいつのまにか東軍、西軍の流れをつくっていくさま、あまり悲愴になることなく、どこかさばさばと明るさすら感じさせる力強さで描かれるこの小説の雰囲気は映画の中にもよく再現されていたのではないかと感じた。


  

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2018-06-09

春琴抄 : 谷崎潤一郎

『春琴抄』 谷崎潤一郎

 大阪の旧い商家に生まれ九歳で盲目となった少女~類稀れな音曲の才と優艶な容姿に恵まれ、誇り高く、またその驕慢さは時に嗜虐的ですらあった春琴と、幼少の頃よりその生涯を通じて春琴に僕のように付き添った佐助。

 肉体の交わりを持ち、子までなした仲でありながら、主従あるいは師弟の別で厳しく間を隔てて暮らす二人。あるとき、 春琴の容貌が何者かによって傷つけられる事件が起こると、佐助は変わり果てた春琴の貌を見ぬために、迷いもなく自ら目を突き盲目となって春琴の傍に侍ることを選び・・・。

 春琴と佐助の二人のみが知る陶酔境。読者としてその世界に感応し耽るには、それなりの素質と才能が必要であって、そういう意味ではとっても敷居の高い読み物だなぁと思う。

 春琴と佐助の間の陶酔境・・・そこに分け入っていきたい・・・とは、まぁ正直なとここれっぽっちも思わないのだけど、春琴の奏でる琴、三絃の音や、彼女が愛玩する鶯や雲雀の声・・・それらは聴いてみたいと思った。ああ、私にそれを聴く力があればなぁ。




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