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2018-04-28

泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部 : 酒見賢一

『泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部』 酒見賢一

 曹操・劉備・関羽・張飛・周瑜・夏侯淵・夏侯惇・・・錚々たる英雄、猛将たちが逝き、後に残された孔明。託されたのは蜀の国と劉備の子~暗愚とも評される皇帝・劉禅。

 孔明を信頼し昔と同じ爽やかな笑顔を見せるのは老年にさしかかった趙雲将軍だけであり、どこかぎくしゃくとした宮廷の人間関係の中、劉禅を抱え、蜀の国を切り盛りすべく独り奮闘する孔明。

 人材に恵まれているとは言えない蜀の国で、周囲の人たちに(至らぬながら)気を遣い、国家の命運を我が身に負い、内政に軍事に大忙し。・・・ああ、登場の時から変質者扱いをされつづけ、不気味な機械と奇策ばかり繰り出してきた孔明が、今や責任ある「大人の仕事」をしているのだ。何かしんみりする。

 孔明の大人な仕事ぶりを見ていると、惨敗と敗走の連続の中でそれでも劉備の傍らで無茶と悪巧みを重ねていたあの頃~もう随分前に読んだ第一部、第二部に描かれた出来事どもが「ああ、あれは孔明の青春の日々だったのだ」とキラキラ輝いて思い出される。シリーズ完結を前に懐かしきあれこれが走馬灯のように蘇るニクい筆運び。

 大人の仕事をせざるを得ない孔明だが、本当の心は常に「宇宙」を思う。さて、南を平らげ、いよいよ五度におよぶ北伐。孔明、最後の大仕事!



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2018-04-14

小川洋子の陶酔短篇箱 : 小川洋子編著

『小川洋子の陶酔短篇箱』 小川洋子編著

 人にはその人にしか見えぬそれぞれの世界がある。

 世界とは、

 ノートに書いたばかりの文字が吸取紙に吸い取られる瞬間の形態を想像し、石油を喰うという微生物の名『プシュウドモナス・デスモリチカ』を呪文のように唱えつつ「俺は早く土星に行かなくちゃ」と思う青年の頭の中であったり(「牧神の春」中井英夫)、

 『ひとつひとつはただ意味なく狂奔しているように見えるけれど、誰がなんでそんなことをするのか知らないが、どこかで牛耳っているものがあって、それで全体が一糸乱れず狂奔している』ような電車たちの世界に魅入られた生活であったり(「雀」色川武大)、

 友人から贈られた一匹の真っ白な鯉であったり(「鯉」井伏鱒二)、

 あるいは一人の女が〝たいてい午前零時をまわったころに帰ってくる夫”を待ち続けるマンションの一室(「流山寺」小池真理子)だったり。

 世界の箱庭のような作品たちを小川洋子氏がまた丹念に箱詰めしたアンソロジー。それぞれの世界に感応し滲みだした小川氏の世界がエッセイとして作品ごとに添えられている。



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