2017-12-23

ないもの、あります : クラフト・エヴィング商會

『ないもの、あります』 クラフト・エヴィング商會

 この商會の出版物を手にするのはこれで4度目。初めて目にしたときのように純粋な夢見心地にはなれないかもしれないけれど・・・、「ないものが、ある」世界に心地よく遊ぶひとときを求めて手に取った。

 「堪忍袋の緒」「口車」「助け舟」「転ばぬ先の杖」「おかんむり」・・・目録に並ぶ商品名はさほど意外なものではなかったのだけど、その商品の使用法やスペックは私の予想からは少しずつずれたものであって・・・。この「少しずつ」なずれ具合、日常的な私の予想を軽やかに外してくる語り口、「ないもの」をほんのひととき「あるもの」にしてしまう言葉の豊かさが心地よい。

 私の一番のお気に入りは『鬼に金棒』。『鬼に金棒』を手に入れると、「矢でも鉄砲でも持って来いっ」って心持ちになるのかぁ・・・。「矢でも鉄砲でも」・・・、「矢でも鉄砲でも」・・・「矢でも鉄砲でも持って来いっ!」・・・ふふふ、言ってみたい。



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2017-12-16

仮名手本忠臣蔵を読む : 服部幸雄 編

『仮名手本忠臣蔵を読む (歴史と古典)』 服部幸雄 編

 籠城か、殉死か、仇討か・・・。殿中での刃傷事件により主君は切腹、お家は断絶。今後の出方を決めるべく城内で開かれる評定の場でのドラマは、急進派の面々となかなか本心を明かさない大石内蔵助、また別の思惑を抱くものたちの駆け引きがスリリングな「忠臣蔵」序盤の名場面だが・・・

 城開け渡しのドラマは「忠臣蔵」の世界でオリジナルに発生したものではなく、幕府に対して籠城し抵抗する姿勢を示した後、しかるべき手順を踏んで開城というフォーマットは、安芸福島家の改易の際の対応をはじめとして他の大名家改易の際にもみられる一種の作法として、当時の武家社会にすでに用意されていたという。

 言われてみればさもありなんという納得の事柄なのだが、「忠臣蔵」の美しいドラマに夢中になるあまりすっかり盲点となって気づかなかった事実。

 赤穂事件の約半世紀後に生まれ現代にいたるまで親しまれている『仮名手本忠臣蔵』と、その他「忠臣蔵」を題材とした作品をそれぞれの時代や社会との関係の中で読む。

 「することなすこと、いすかの嘴ほど違うというも・・・」皮肉な運命に翻弄される若者の苦悩を描いた並木宗輔の心性。『仮名手本忠臣蔵』の世界を相対化、あるいは反転させてみせた四世鶴屋南北の時代性とその手腕。「忠臣蔵」に自分のための、あるいは時代を映した物語を託した作者たちの息づかいも生々しい。

 史実と虚構をないまぜにし、さまざまに派生、分裂、変貌、増殖する作品で人の心を惹きつけながら江戸時代から今日までひろがりつづけている巨大な「忠臣蔵」沼のありさまを窺う助けとなる論考集。



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2017-12-09

江戸川柳で読む忠臣蔵 : 阿部達二

『江戸川柳で読む忠臣蔵』 阿部達二

 十二月、「忠臣蔵」の季節でございます。

 「忠臣蔵」ものの決定版といえる『仮名手本忠臣蔵』各段ごとに概容と名場面を解説しつつ、それぞれの場面をよみこんだ江戸川柳を紹介するという形式は、『仮名手本~』を通しできちんと観たことがない私にはわかりやすい親切設計。さらに、史実としての「赤穂事件」や『仮名手本~』がその世界を借りた『太平記』の記述への言及、「赤穂事件」「忠臣蔵」をもとにした文楽・歌舞伎以外の文芸や雑学的な事柄の紹介、『仮名手本~』に隠されたメッセージの考察など、コンパクトな中に硬軟あわせて様々な情報をバランスよく収めた内容は、さらに広く深い「忠臣蔵」の世界への興味にもつながる良書だと思う。

 本書を読むと『仮名手本忠臣蔵』の全十一段、川柳によまれていない場面はないんじゃないかと思えるほどで、江戸の人々がすみからすみまで「忠臣蔵」をしゃぶりつくすように楽しんだ様がうかがえる。しかし、私にとって感慨深いのは江戸の川柳よりも、↓のような昭和ネタ。

「刃傷松の廊下」という艶歌がある。(中略)おじさんたちはOLに後からしっかりと抱きつかせ、「放して下され、梶川殿」と絶叫するのである。

(NHK大河ドラマ「赤穂浪士」での)長谷川一夫(大石内蔵助)の同志への呼びかけ「おのおの方」は一世を風靡し、会社、学校はじめ人の集まる場では必ず使われた。

 リアルで体験したことはないけど、昭和生まれの私には容易に情景が想像できる。「ああ、いい時代だなぁ~」なんて、しみじみ、ニヤニヤしてしまう。




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