2017-10-21

謎の物語 : 紀田順一郎編

『謎の物語』 紀田順一郎編

 結末が語られる前にプツリと断ち切られる物語。何故? 何が? 不条理、不可思議、不可解・・・様々な謎を含んだ物語。

 物語の中で起こるべき「もっとも怖ろしい出来事」「想像を絶する災難」、「断ち切られた物語の結末」「謎の答え」をそれぞれの読者の心の中に求めるスタイルの物語群。しっかりとその効果を計算して書かれたと思しき緊迫感溢れるものから、作者が自らの着想に振り回されたまま放り出したような印象の作品まで、色んなタイプの物語が並ぶ。海外作品については翻訳文体にも味があって、その部分でも楽しめる。

 収録作の中では、木々高太郎「新月」の古風とモダンの混ざりあった香りの高さと、ザワザワするような余韻が印象に残る。稲垣足穂の「チョコレット」は「謎の物語」というのとは趣が違うが、ユーモラスかつ硬質な幻想世界が心地良い。

【収録作品】
「女か虎か」 F.R.ストックトン
「謎のカード」 C.モフェット
「穴のあいた記憶」 B.ペロウン
「なにかが起こった」 D.ブッツァーティ
「茶わんのなか」 小泉八雲
「ヒギンボタム氏の災難」 N.ホーソーン
「新月」 木々高太郎
「青頭巾」 上田秋成
「なぞ」 W.デ・ラ・メア
「チョコレット」 稲垣足穂
「おもちゃ」 H.ジェイコブズ



文庫版は収録作品にかなりの変更があるようです。



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2017-10-07

戦国24時 さいごの刻 : 木下昌輝

『戦国24時 さいごの刻』 木下昌輝

 豊臣秀頼、伊達輝宗、今川義元、山本勘助、足利義輝、徳川家康・・・六人の男たちの死の直前の24時間~「さいごの刻」を奇想を織り交ぜて描く。

 刻まれる時の緊迫感、周知の歴史の一場面によりダークな色合いを加える作者の奇想を味わうだけでも充分なのだが、「最期の24時間」しか描かれていないことで、妄想力豊かな読者には事ここに至るまでのドラマをあれこれと思い描く楽しみもあるだろう。

 いやむしろ、ここに到るまでの時間を妄想させるためにこそ、最期のときの24時間だけが書かれたのか。

 六篇の中では足利十三代将軍・義輝の最期の姿が美しい「公方様の一ノ太刀」がいちばん好き。





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