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2017-09-23

存在しない小説 : いとうせいこう編

『存在しない小説』 いとうせいこう編

 「『存在しない小説』っつったって、実際ここに印刷されて存在してるし、今わたしそれを読んでるし・・・」と思ったのだけど、まさに「そういうこと」を云々する作品だったようだ。

 目次には、どうも怪しい作者とどうも怪しい翻訳者の名前が記された作品が並ぶ。それぞれの作品の後には「編者解説」が付され、つい今まで読み、味わっていた小説の「存在」を問うてくる。

 そういえば、いとう氏と奥泉光氏が文学について語り合った『文芸漫談』の中に、〝形としては紙に印刷された文字様のシミの集合である「小説」って何なんだ?”っていうような話があったと思うけど(随分前に読んだものなので記憶が曖昧)、この作品はその問いを読者として体感するための仕掛け。

 「小説」はどんな次元に存在するのか・・・?

 紙に印刷されたシミを小説たらしめる読者の中の翻訳者。一昨年、伊藤計劃・円城塔の『屍者の帝国』を読んだときにこんなことを感じて以来、「読者としての私」の前にいる「翻訳者としての私」の存在を多少意識するようになっていたので、そのあたりの感覚を刺激されつつ興味深く読んだ。

 でも、そういうコト抜きにしても、それぞれの作品は一つ一つ味わいの濃い短篇小説として楽しめました。


  

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theme : 読書メモ
genre : 本・雑誌

2017-09-09

関ヶ原

『関ヶ原』 監督:原田 眞人

 とにかく平岳大さんの島左近がカッコ良すぎた。渋すぎた。美しすぎた。

 この映画の何が見たかったかって、「岳大さんの島左近っ!」だったので、期待どおりの素敵っぷりに大満足。胸いっぱい。


 ・・・で、島左近はおいといて映画としてどうだったかというと・・・・・・一人一人の俳優の演技はいいし、関ヶ原で激突する武将たちの人物像もいろいろと作りこまれているんだけど、その人物たちが集まって生まれるべき大きなドラマの流れというかうねりが弱い。細部にいろいろ詰め込んだ結果、全体が散漫になってしまってる気がする。

 西軍を率いる石田三成~岡田くんが丁寧に演じれば演じるほど「やっぱり家康と天下を争う器じゃない人」になる気がする。個人的な理想と誠をつらぬく「義」の人ではあるけれど、大勢の人に向かって「正義」をぶち上げるほどの曲者ではないもの、三成。関ヶ原の戦いってきっと「正義」vs「野望」なんて単純な構図ではないんだろうに、そういうフレーズを宣伝文句にしてしまったのはせっかくの作品の質を損ねているような気がする。

 あと、皆さんお国訛りが凄すぎる上にしゃべりがマシンガンなんで何言ってんのかわかんない=何が起こってんのかわかんない。この映画観に来てるのは殆どが歴史好きの方であろうから、少々台詞が聞き取れなくてもどういう場面なのかは了解しておられるのだろうが、私は加藤清正ら七人党と三成のいざこざのくだりなんて、去年『真田丸』観てなかったらわかんなかったと思う。

 ・・・てな感じで、多少の不完全燃焼感はあるんだけど、もう一回、島左近を見たいなぁ~。あと、近いうちに原作も読みたい。

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