2016-11-19

オーケンの散歩マン旅マン : 大槻ケンヂ

『オーケンの散歩マン旅マン』 大槻ケンヂ

 大槻ケンヂの古いエッセイ、再読。

 このところ日々のホントに小さな小さな小さな・・・ストレスの蓄積で心がささくれだってる自覚があったので、何か優しいものを摂取したかったのだ。

 オーケンが色々と大変だった時期に書かれたエッセイが多いようで、全編に漂うローな感じが、あまり好調とはいえない今の私には心地良い。

 バンドのツアーでいろんな街に行く。何もかもが嫌になってふらりと旅に出る、ぽっかり空いた無為な時間にほてほてと散歩する。バッグには何冊かの旅友本。

 どれも穏やかに凪いだ気持ちにさせてくれる、うら寂しくも思いやりに満ちたエッセイの中で、白眉は(というと大袈裟だろうか)「熱い湯にとっぷりとつかりたい」と思い立ったことから始まった一日の顛末を書いた「熱海の手前でカレーを食べた」

 都内の温泉に行こうと最寄の駅に向かったはずが、駅ビルで文庫本を2冊買うとどこか遠くに行きたくなりそのまま熱海へ。駅ビルで買った本を車中で読みつつ(ここでの小さく「!」なエピソードは本好きにとってはプチご褒美的なワクワクする話)、「海が見えた」と降りたったのは熱海より少し手前の駅で・・・。あまりにさらさらとした純粋に自由な一日が、色々な関係やつながりから切り離されてしまった(あるいは自ら断ち切った)寄る辺のなさを際立たせて、ちょっとたまらない気持ちになる。

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2016-11-05

雷の季節の終わりに : 恒川光太郎

『雷の季節の終わりに』 恒川光太郎

 恒川光太郎の描く世界に触れると、いつもどこか傷つけられたような気持ちになる。だが、その傷は必ずしも不快なものではなくて、むしろ切なく懐かしい。

 この世の地図からは隠された地「穏(オン)」 ~ 春夏秋冬の他にもう一つ、雷の季節を持つ世界。雷の季節に起こる不思議は魔物の仕業。公然と語られることはない「穏」の闇。風の魔物「風わいわい」憑きの少年・賢也にふりかかる数奇な出来事と、その残酷な運命を生き延びた少年の物語。

 賢也少年は残酷な異界を生き延びた。しかし、彼の進んだ道は彼の意志や力によって拓けたものではない。圧倒的な力はいつも世界の方にあって、少年は世界の巡り合わせの中でいくつかの選択を強いられたに過ぎない。

 旅の終わりはどこか虚ろだ。異界を行く賢也と共にあったもの・・・風にのって様々な生を渡る不死の鳥~呪いであり祝福でもある「風わいわい」も去った。そして通り抜けてきた異界は怖ろしくも懐かしい。




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