2016-10-22

青蛙堂鬼談 : 岡本綺堂

『青蛙堂鬼談 - 岡本綺堂読物集二』 岡本綺堂

 「青蛙堂主人」を名乗る好事家に招かれた男女が一つずつ怪談を語るという体裁で十二のお話しを収めた『青蛙堂鬼談』と、附録として「梟娘の話」「小夜の中山夜啼石」の二篇。

 タイトルは「鬼談」となっているが「奇談」とも「綺談」とも呼べそうな、不可思議で怖ろしい、とともにどこか風雅の香りのする怪談集。

 往来の多い渡し場のある利根川の岸に立つ座頭(「利根の渡」)。夏~秋~初冬と移っていく信州の山の季節感(「兄妹の魂」)。上野広小路の道端に薄い蓙をひいて夜店を出す落ちぶれた浪人風の男(「猿の目」)。満州の戦地の村の柳(「窯変」)。竹藪が繁り狸や貉の棲家であった明治半ばの新宿あたりの様子(「黄い紙」)。月夜に冴える笛の音と月光に照らされる芒の河原(「笛塚」)。泣き弱ったこほろぎの声がきこえ、九月の末でも火鉢をひき寄せたいくらいの夜寒がしみる白河の旧家の奥座敷(「龍馬の池」)。

 情景の描写が鮮やかで艶めかしく、昔の歌や物語の舞台になった土地に心が旅するような楽しみもある。




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2016-10-08

マインド・クァンチャ - The Mind Quencher : 森博嗣

『マインド・クァンチャ - The Mind Quencher』 森博嗣

 物語が始まった時、ゼンは「自分が何者であるかを知らない若者」だった。絶え間なく思考することで自分という存在を、自分が存在する世界を量り、都へ向かう旅の途中で人と出会い交わって世の中の仕組みや様々にからまる人の思惑というものを知り、幾多の強敵と刀を交え、その軌跡のひとつひとつを身体に刻み・・・

 ゼンの行く道筋は螺旋を描くように一周し、彼はまた「自分が何者であるかを知らない若者」となった。だがその自然な在りようは、「私」というものについて思考することで「私」を見出していた旅の初めの彼とは位相を異にしている。

 剣の道を究め、究めて行き着く先・・・そこでは、思考する「私」は消える。「無」・・・それは死に近い。剣の道の究極にある「無」と自分がこの世の中で生きていることの矛盾。何だか仏教的な問いだ。ゼンはいつか答えを見つけるだろうか。

 あまりにも大きな人々の思惑に関わることになってしまったゼンの行く末が少し心配になった。だが、ゼンはそのような思惑には関係なく、自分に見える道を行くのだろう。




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